横浜アザミロータリークラブ
横浜あざみロータリークラブ/YOKOHAMA AZAMI ROTARY CLUB ROTARY INTERNATIONAL
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2015~2016年度・卓話
例会日 タイトル 卓話者
 6月8日 幸せの国ブータンが教えてくれたこと  関 健作 様 
5月25日   ロータリー雑学 三間 悌司 様(川崎西RC) 
 5月18日 “絆”KIZUNAプロジェクト
〜イスラエル、日本、パレスチナの青少年が日本の里山で学ぶこと〜 
村橋 真理 様 
 4月27日 ロータリーの多様性について  石井 富雄 様(横浜戸塚中央RC) 
 4月13日  中央アフリカ共和国における母子保健活動 徳永 瑞子 様 
3月9日 規定審議会とロータリーの組織管理 三間 悌司 様(川崎西RC)
3月2日 医療と水 川崎 忠行 様
2月17日 有田焼創業400年の歴史と色鍋島 今右衛門 今泉 善雄 様(東京西RC)
2月3日 世界を覆う2つの危機
ー石油大国サウジ・イランの対立とISテロの拡散ー
佐々木 伸 様(東京西RC)
11月25日 世界の医療団 玉手 幸一 様  森川 すいめい 様
11月11日 海外支援「Japan Day」報告 磯野 共余 会員(横浜あざみRC)
10月21日 米山奨学月刊卓話 許 如怡 さん(米山奨学生)
10月7日 地域経済発展の月間に関する卓話 山下 正人 様(横浜市市会議員)
9月30日 ガバナー公式訪問卓話 箕田 敏彦 様(2590地区ガバナー)
9月16日 「ロータリーの友」で知るロータリー 二神 典子 様(東京築地RC)
8月19日 あざみ野の空と世界の航空宇宙は今 泉 耕二 様
8月5日 地区拡大増強を考える 高岡 俊之 様(横浜本牧RC)
7月15日 ロータリー発生史 三間 悌司 様(川崎西RC)
7月8日 江戸の寺子屋ー子供たちはどのようにして学んだのか 大野 粛英 様(横浜港北RC)
 
6月8日 幸せの国ブータンが教えてくれたこと
関 健作 様 
ブータンという国
 ブータンは、中国とインドに挟まれ、世界の屋根ヒマラヤ山脈の麓にある、九州ほどの国です。
 2011年、国王夫妻が日本に来日し「幸せの国」として話題となりました。ブータンでは、国の成長を国民総幸福量(GNH:Gross National Happiness)という独自の尺度ではかります。
「幸福には物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさが大切である」という考えに基づいて第4代国王が提唱したものです。
 ブータンの教育と体育
ぼくは、ブータンに青年海外協力隊の一員として赴任し、3年間体育教師を務めました。
ぼくが赴任するまで、タシヤンツェには体育の授業というものがありませんでした。ブータンでは2000年から体育が正式な教科としてカリキュラムに加えられたが、7年経っても体育授業の重要性はあまり認められていません。加えて体育教員が少ないために、体育を教えている学校もほとんどありません。
 タシヤンツェの生徒にとっても、同僚である先生たちにとっても、体育は未知のもの。だから初めの頃は、ただの遊びの授業としか認識されず、重要性をまったく理解してもらえませんでした。
ブータンと関わって
 子どもに体育を教える体育教師として3年を過ごしたぼくは、ブータンで暮らしているあいだずっと、ブータン人の笑顔と幸せについて考え続けました。
 はっきりとした答えが得られたわけではありません。しかし、彼らと接し、多くの笑顔にふれているうちに、いつのまにか、世の中を見る自分の目が変わっていることに気づきました。
ブータンの生き方に魅了され、帰国後もっとブータンのことを知りたいと思い、ぼくは写真家という道を選びました。今では写真家として関わっているブータン。
そんなブータンでの出会い、エピソード、彼らから教えてもらったことを紹介します。

関健作(せきけんさく)
写真家。1983年、千葉県に生まれる。2006年、順天堂大学・スポーツ健康科学部を卒業。2007年から3年間体育教師としてブータンの小中学校で教鞭をとる。2010年、帰国。小学校の教員をしながら写真展を開催。現在、写真家の道を選び、ブータン、チベット文化圏、教育をテーマに撮影している。また、ブータンの価値観を伝えるべく、講演会や執筆活動も行っている。 日本で唯一のブータン語(ゾンカ語)翻訳、コーディネーター(NHK・日本テレビの仕事実績あり)。
【著書】
『ブータンの笑顔  新米教師が、ブータンの子どもたちと過ごした3年間』(径書房)
『撮り・旅!地球を撮り歩く旅人たち』(ダイヤモンド社)
http://www.kensakuseki-photoworks.com
 
 
 
 
5月25日 ロータリー雑学
三間 悌司 様(川崎西RC) 

○研修について
○日本人のロータリー観
○私の学んだロータリー
○ヴォケイショナル・サービスの意味
○ロータリーの今後

5月18日 “絆”KIZUNAプロジェクト
〜イスラエル、日本、パレスチナの青少年が日本の里山で学ぶこと〜
村橋 真理 様
Peace Field Japanは、毎年夏に「”絆” KIZUNAプロジェクト」を行っています。イスラエル、日本、パレスチナの青少年が、自然豊かな、自然と人が調和する暮らしが受け継がれてきた日本の里山で、対話と交流によって信頼醸成を行う活動です。三地域の参加者が、持続可能な社会のモデルである里山で共に生活し、地域の人が育んできた暮らし、文化、伝統にふれる体験を共有することで、お互いを受け入れ、絆を築くと共に、持続可能で平和な社会を作るために何ができるのかを一緒に考える場を提供しています。今年10年目を迎え、これまでに、三地域から154人が参加しています。
この活動の背景には、イスラエルによるパレスチナの占領が長く続き、解決の兆しが見えないという現実があります。イスラエルとパレスチナの間では、人々の行き来が制限され、特に若い世代は、相手を知る機会がなく、お互いに不信感と恐怖心を抱いています。持続可能な平和の実現のためには、将来を担う青少年が、まずは個人と個人として相手を知る場が必要であるという、現地のニーズに基づいて行っています。
 現地パートナーは環境NGO、EcoPeace Middle Eastです。この団体は、イスラエル人、パレスチナ人、ヨルダン人が、協力して共有している環境を守る活動を通して、地域の持続可能な発展と地域に平和が根づくための土台作りを行っています。環境に国境はないので、国境を越えた地域全体での環境を守る取り組みを行い、ひいては平和構築の足がかりを作ることを目ざしているNGOです。イスラエル人とパレスチナ人の参加者は、EcoPeace Middle Eastが行う、地域で水を守る青少年の活動に参加している高校生です。
 このプログラムは、「SATOYAMA for Peace」のコンセプトに基づいて行っています。日本の里山は、日本ならではの実践的な平和構築のモデルといえます。参加者たちは、様々な里山体験からの学びを通して、変化し、成長します。人と自然が共存する里山から、参加者たちは、相互依存の関係性に気づきます。そして、人と人との関係性、一緒にプログラムに参加している他の参加者との関係性に目を向け、体験を共有し、一緒に生活する合宿生活をとおして、お互いに信頼を育み、相手を同じ人として受け入れるようになります。
 参加者たちが口々にいうのは、“人生の学び”の機会だった、ということです。
・ まったく違う目で物事をみられるようになった
・ 考え方の違いに納得できなくても、一緒に生活することができた
・ 小菅村の方々から、毎日の暮らしの中の小さな喜びに感謝すること、持ちつ持たれつの関係、心を開いて生きることが大切だと思った
・ 自然を守る責任があり、多くの知恵、人の力、決意が必要だということを学んだ。
などと自分の体験をふりかえっています。また、プログラムの中で、心のコミュニケーション講座を行い、コミュニケーションの仕方も学びます。共感と尊重というキーワードをもとに、実践することを心がけます。
 これは、日本の若者たちにとっても同じです。異なる文化や価値観にふれることで視野を広げ、同時に、イスラエルとパレスチナの参加者と一緒に里山体験をすることで、自らの文化、暮らし、価値観を見つめ直すことができます。世界を見ながら自分の地域に貢献し、自分の地域で世界へ貢献しようとするグローカルな若者が育っています。
 参加者、学生ボランティアは、プログラム後もfacebookなどでやりとりをし、ネットワークが築かれています。なかなか先の見通しが立たず、むしろ悪化していく一方の現地情勢の中で、実際に会って話してみる、このような機会の必要性が増しています。毎年、会員として、あるいはご寄付、物品の提供によるサポート、様々な形でご支援いただく方々のおかげで、プログラムを続けてこられています。2016年もプログラムを実施し、三地域の青少年たちに、将来のためにきっかけを与える機会を提供したいと思っております。是非多くのみなさまのご支援をいただきたく、心よりお願い申し上げます。
4月27日 ロータリーの多様性について
石井 富雄 様(横浜戸塚中央RC)
近年ディバシティーフリーダムと言う言葉が社会で間かれます。そして日本人の大多数がその言葉の意味を誤解しているとも言われます。又ロータリーにおいて関連資料にディバシティーが出て参りました。ディバシティーとは日本語で多様性という言葉です。海外では30年以上前から意識された考え方だそうであります。「多様性」たくさんのありさまということで植物・動物そして人間の生き方です。そして人間社会では複数の国籍を指す、つまり複数の文化と複数の生き方、宗教、価値観があると言う事です。
最近話題になる女性の社会進出はもちろんのこと、LGBTも含まれています。LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、 トランスジェンダーと言ったマイノリティーの人々の事です。ところで日本においてのディバシティーの状況はどうでしょうか。アメリカでは同性結婚が成立しています。日本はそこまで行つてはいませんが、東京での複数区で大変理解ある対応がされている様でありますが一番の叫ばれているのは女性の進出を促し、そしてその生き方を応援する社会構造といったところでしょうか。しかし本質的に若い年齢層ではとても進行していて、それが自己主張の形で表現され問題も起きている様です。つまリディバシティー多様性と言う事で何でもわがままを有りとする誤解であります。もちろん多様な人々の社会進出により働き方も多様に希望が出され、それに答えてゆく事が多様性の社会なのですが、やはりそれらには全て目的があり「何のために」を考える必要があるのです。ディバシティーの目的は組織や社会が前進するためでありその人の力量が最大限に発揮され、そしてそのチーム、その組織が最高得点を挙げるためなのであります。それぞれのわがままを許しているのではなく、それぞれの人の最大限の貢献可能性を引き出すための環境づくりを整えているということです。ですから多様性による行動は組織、チームに各自の立場で自らを高め、自分の考えをまとめ、提案する力を育て、組織に貢献する事が必要であります。要求と貢献は同一視されて初めて成り立つ意味であります。希望を訴えるだけではダメなのです必ず貢献としての結果が必要なのです。又具体的な話として議論のテーブルの発言も日本人的表現として社会ではとか、皆が等、とても抽象的な表現言葉が使用されますが、これもだめです、自分を主語にし私の宣言文としての提案でなければならないのです。自分の考えをもとめる訓練を必要とします。イエス、ノーを明確にする訓練です。およそ日本人に一番苦手な思考です。空気を読むと言う日本人的思考ではだめです。そして又各自の意見に対してリーダーと言われる立場にある者は取捨選択の能力が必要とされます。リーダーシップとはチーム、組織の意見を取り入れながら目的や戦略の結論を導きだす決定権と能力を必要とされます。又自らの意見や視点を述べた上でそれが採用されなくても決まったことを100%の力でやりぬく力を「フォロワーシップ」言って、これが出来ないとディバシティーの考え方ではありません。さてそれではロータリーにおいても多様性との言葉が出て参ります。どう理解すれば良いのでしょう。ロータリーは元々地域社会において、又業界のリーダーとしての存在を育成することが目的の1つであり、今日ディバシティー、多様性という言葉が使われ始めたので資料にも取り入れられましたが、元よリロータリーはディバシティーなのであります。国際理解にしても同じくディバシティーの考え方であります。四つのテストによる職業奉仕の考えももちろんのこと、社会奉仕もロータリアンー人ひとりの日で業務を通じて社会をみつめ社会貢献の場を広げてゆく事、ボケーションとは職業の意であるが更にもつと深い意味を持って、即ち天命によって従事している仕事、ロータリアンの従事する仕事は天職とまで言われるゆえんです。しかしながら最近のRIの発する言葉で大変気になる表現となっている事があります。ロータリーを表わす表現として「ロータリーは奉仕する人の団体である」とかつてはロータリーを他の同種奉仕団体と区別する鉄則でありました。ところがこの頃は「ロータリーは世界最大の奉仕団体です」と公言する物になってしまいました。ですから団体活動として寄付金集めに集中しその集まった他人のお金で奉仕活動をする様になっているのです。補助金制度もその流れであります。全くの商業化に傾斜しています。最近なられた日本からのRI会長を務められた方も私はセールスマンであると言っていた事を思い出します。又挙句の果てには「人類は私たちの仕事」などと広言して公私混同の公金濫費をするRI会長まで出て来ている始末です。このところの社会は資本主義の終末とも言われ、自由民主主義、市場資本主義、経済至上主義の負の面が次々と噴出して来ています。全てのこうした面に対応出来る不変の哲学はロータリーの考え方ではないでしょうか。本年の年初のテレビでの「新年に当たる対談」を見ました。経済学者、世界政治学者、哲学者、宗教学者の対談でしたがこぞって言っている内容が真新しい発想、これからの生きる道などと言ってましたが全くロータリーそのものでした。私達は今一度ロータリーを自信を持って学び直す時であります。けっして「奉仕団体」などではなく「奉仕する人の団体」つまリアイサーブについての自覚を持たねばなりません。RI会長の発する言葉に誤解が感じた時はロータリアン同士で語り合いましょう。RIにおいて「決議23~ 34」は現在のRI執行部には形ばかりに思えますがロータリーは権力構造ではありません。我々日本のロータリアンは己の信条に基づいて活動すべきです。最後に今1つ私の考えをお話致します。本日はディバシティーについて話をしました。多様性であります。そして又人道主義という考え方があります。同じくリベラル、自由主義であります。これは15~ 16世紀のイタリアにおこったルネッサンスの中心となった思想でそれまでの神中心の考え方に対し人間性を解放しようとする考え方で他に迷惑とならないかぎリー人の人間が信じ考え、話すことなどは最大限に自由にさせるのが良いとする思想です。ここで自由について考えてみたいと思います。仏教で言う自由とは、自は自分、私です。由は拠り所、つまり自分の生命の基本となる先祖、家族、親子、兄弟であります。この世を仏教では苦の世界と言われます。その苦とは、満たされない事です。つまり日常のこの世は苦の世界、満たされない欲望の世界に人間は生きているのであります。そこで一度、反対に非日常を考えて見ましょう。つまり満たされた世界、苦のない世界であります。それは本当の自分を見つける世界であります。この世は人間誰しもそれなりの肩書き、レッテルをもつて生きています。そしてその肩書きやレッテルが重く肩にのしかかり重荷となって苦しんでいるのです。肩書きのない自分に一度身を置いて本当の自分の姿を見つけて見てはいかがでしょうか。そうすることにより、この世で生きるにも満たされた世界の発見で楽しい人生を過せるやに感じます。世界社会は刻々と変化しています。しかし地球で生きる私達の本当の幸福は基本的に生命の安全、安心、そして平和であると思います。ロータリーは元よりその考えにより発展して来たものであります。今一度ロータリーの「温故知新」を振り返リロータリー哲学を学んでゆかねばならぬ時と存じます。近年ロータリーは当2590地区を含め新しい会員を迎えはするのですが1~ 2年の早い時期に退会をする方が大変多い事はご存知でありましょう。何故でしょう。本当のロータリーを学ぶ機会がなかったか、学ぶ機会を得られなかったのか、学ぶ心が欠如していたのか。はた又今日のロータリーの本質を忘れた現状を憂いての退会なのであろうか。ロータリーを一言で表わす言葉に「ロータリーは奉仕をする人の団体」であります。間違わないで下さい。「奉仕団体」ではありません。ご清聴ありがとうございました。
4月13日 中央アフリカ共和国における母子保健活動
徳永 瑞子 様 
中央アフリカ共和国は、アフリカ中央部に位置し、チャド、カメルーン、コンゴ、コンゴ共和国、スーダン、南スーダンに囲まれた内陸国です。2013年3月にクーデターで政権が交代し内戦状態が3年間続き、国の経済は破綻し、世界一貧しい国と言われています。今年4月より民主的に選ばれたクワデラ大統領が政権を担い復興に向けて動き出しました。
NGOアフリカ友の会は、1993年より、首都のバンギでHIV感染者の支援(医療及び自立支援)、栄養失調児のケアを続けています。
途上国では、保健医療活動の5割以上は、母子保健活動です。多産多死で、妊娠出産、乳幼児のケア、家族計画、感染症対策、特に若者へのHIVの感染予防対策、母子感染予防対策など活動は多岐にわたります。
しかし、アフリカで30年の活動を通して、最も重要な課題は、栄養失調児の問題です。乳幼児死亡の根底には、子どもの栄養失調があります。医療過疎な地域でも、栄養が十分で体力がある乳幼児であれば、肺炎やマラリアなどの重篤な感染症に罹っても助けることが可能性です。しかし、栄養失調状態の乳幼児が感染症に罹ると助けることは難しいです。予防接種も低蛋白症の乳幼児にはあまり効果がありません。さらに、HIVの母子感染児は、貧しい環境下で育つ場合は、再三結核や肺炎などの日和見感染症に罹り、エイズ薬(ウイルス量を減らし、延命できるARV剤)の内服が可能になりましたが、成人するのが難しい子どもが多いです。HIV感染妊婦は出産まで継続的に監視し、妊娠中及び出生直後の新生児にエイズ薬を内服させることにより、母子感染率を38%から10%以下に減らすことに成功しています。HIV感染女性で子どもを望む女性に対するプロジェクトがあり、助産師が指導に当たっています。定期的に血液検査を行い免疫力を測定し、妊娠するベストの時期を助産師が指導することによりHIVの母子感染率を激減させることが可能になりました。
 しかし、この3年間の内戦期間は、数十万人の避難民を出し、医療や教育が平常通りに機能しなかったため、エイズによる死亡や感染者(母子感染も含む)が増大したと言われていますがその数値はまだ明らかにされていません。
 内戦で勝ち取ったものは何もなく、貧困者や女性や子どもなどの生活弱者が、命を奪われ家を奪われ大きな犠牲を払いました。今も、世界のあちらこちらで内戦や混乱が起きています。これらのトラブルを解決することが、母子保健の最重要課題であると思います。
戦いを止め、毎日食事を食べられるようになることを目指さなければならないと思います。
 東京の大型スーパーマーケットに行くと、高く積まれた食品を見て栄養失調児たちの顔が脳裏をかすめます。ここにある食品の何割が賞味期限切れで廃棄されるのだろうかと考えるからです。私は、アフリカの現状を知っていただきたいと思っています。知れば、私たちが何をするべきかが分かると思うからです。

<プロフィール>
県立三池高校卒業後国立嬉野病院付属看護学院、
九州大学付属助産婦学校卒業
70年 国立東京第二病院勤務
71年 ザイール共和国ムソン診療所勤務
73年 愛育病院勤務
76年 ベルギー・レオポルド王記念熱帯医学校卒業    
   ザイール共和国で医療活動
83年 聖母病院勤務
93年 国立公衆衛生院研究過程卒業(Doctor of Public Health) 
 中央アフリカ共和国にて医療活動(アフリカ友の会代表)
03年 内乱により帰国。拠点を日本に移し長崎大学医学部保健学科勤務。
07年 聖母大学勤務
11年 上智大学総合保健学部看護学科教授。
15年 定年退官。
     <賞>
90年 第11回読売女性ヒューマンドキュメンタリー「プサ マカシ」大賞テレビドラマ化
93年 東京都北区区民文化奨励賞
95年 大山健康財団激励賞
02年 毎日国際交流賞、日本財団社会貢献賞
04年 平田厚仁記念基金褒賞
05年 村松志保子賞、
フローレンス ナイチンゲール記章
06年 読売国際医療功労賞、若月賞
08年 保健文化賞
13年 ひまわり褒賞
14年 ヘルシーソサイアティ賞
     <著書>
87年 エチオピア日記     海声社
90年 プサ マカシ      読売新聞社
93年 ザンベ          中央出版社
01年 シンギラ ミンギ     サンパウロ
09年 これは本当のアフリカのお話です海声社
12年 アフリカの詩     クオリティケア
14年 国際看護学      クオリティケア
15年 アフリカで老いを生きる    海声社
<NGOアフリカ友の会>
中央アフリカ共和国で始めたNGO(現在は特定非営利活動法人)。首都バンギを拠点に活動
HIV感染拡大防止教育、エイズ感染者・患者の医療支援、給食サービス、食糧配給の栄養支援、就業支援(マイクロクレジット・農業)貧困児・エイズ孤児等の就学支援を続けている。

アフリカ友の会
〒115-0053 東京都北区赤羽台4-17-18-1102
 TEL03-3909-7114
 FAX03-3908-0200
 e-mail:africa9301@circus.ocn.ne.jp
http://africa93.sakura.ne.jp/
中央アフリカ共和国 首都バンギ
NGOアフリカ友の会 ブエラブ保健センター
B.P.1721BANGUI REPUBLIQUE CENTRAFRICAINE
3月9日 規定審議会とロータリーの組織管理
三間 悌司 様(川崎西RC) 様
規定審議会 Council on Legislation
詳細は国際ロータリー定款 第10条
   国際ロータリー細則 第7条、第8条
   会議運営手続規則を参照する。
歴史
1934 国際大会の必須1部門として初めて開かれる。
1954 国際大会が奇数年度=役員改選。
        偶数年度=規則改正 となる。
   従って偶数年度に開催されることになる。
1970 1968年迄は非決議機関であった。
   クラブ数が増し案件が増えてきて国際大会の一週間では審議出来なくなり、規定審議会を立法機関とする。
   規則改正に関する最高の決議機関となる。
1974 以降3年に1回の開催となる。
会議
   3年に1度、RI理事会の定める時と場所で開催する。
   時は、4月~6月 できれば4月
   場所は、財政的その他のやむを得ざる理由によりRI理事会全体の3分の2の賛成票で別段の決定をした場合を除き、RI世界本部の近辺にて開催される。
代表議員(Representatives)
審議会の投票権を有する議員
   審議会の2年前のロータリー年度に各地区内のクラブは審議会で地区内クラブを代表するロータリアンを1名選ぶ。
   代表議員は自分が代表する地域内のロータリークラブ会員でなければならない。選挙時にRI役員を全期務めたことのある人(特別な事情の下に現ガバナー、ガバナーエレクト)
提案権
立法案を提出しうるのは
a) クラブ
b) 地区大会
c) RI理事会
d) 規定審議会
会報担当
  坂口 米子  美谷脇 博之
e) RIBIの規定審議会もしくは大会
立法案(Proposed Legislation)
   立法案は規定案もしくは決議案という形で審議会に提出することができる。
a) 制定案(Enactments)
   RI定款・細則または標準ロータリークラブ定款を改正する意図をもつ立法案
b) 決議案(Resolutions)
   RIの組織規程を改正したり抵触したりすることなく意見を表明したり、方針や手続きを推奨したりする案件。
決定
   立法案を採択するに当っての決定は、全クラブの審議会を経て発効する。
   審議会の決定は一時保留とされない限り審議会閉会直後の7月1日にその効力を生じる。
3月2日 医療と水
川崎 忠行 様
公益社団法人日本臨床工学技士会 会長
前田記念腎研究所茂原クリニック
大原クリニック 部長
地球は水の惑星といわれていますが、98%が海水で、淡水は2%、私たちが利用できる水は全体の0.01%以下です。 現在、世界の約7億人が、水不足の状況で生活しています。不衛生な水しか得られないために毎日4900人(年間約180万人)の子どもたちが亡くなっています。(国連水資源報告書、人間開発報告書)
特に人口増加に伴って、食糧を増産する必要が出てきたため、これまで農地にしていなかった乾燥地帯で灌漑農業が行われるようになり、さらに大量の水が必要となりました。
また、途上国での工業化や生活の物質的な向上によって、水需要全体も50年前の3倍になっており、人口増加の2倍の割合で水消費が増えています。
今、水危機といわれ、地球で11億人が安全な水を飲むことができないとも言われています。
私は、医療機器の専門医療職として東南アジアや中国に出向くと、常に「安全な水」について考えさせられます。 特に日に見えない病原微生物や生物の腐敗物質などの細菌学的な安全性やヒ素などの化学物質汚染の安全性などです。ミャンマー日本大使との話で、大使公邸のプールに水道水を貯めたら、わずか2日でアオコとオタマジャクシが湧いてきたとのことです。
医療には注射液や点滴液は不可欠ですが、それらは医薬品工場で厳格な管理のもとに作られ供給されていますが、手術室などでの器具・器械の洗浄、寝具等の洗濯に大量の水が必要となります。特に血液透析治療では水の量と質が大変な問題となります。
透析治療で一人の患者さんに使用する量は一回に120L、月に1.4t、年17tであり、透析装置の洗浄・消毒も加えると一回220Lで、年32tもの水が使用されています。
1日に透析を昼・夜で60人行うと、220×60=13200L(13.2t)となります。しかし、透析に使用する水は、水道水をそのままでは不純物等があり使えません。水道水は水道法で水質基準が設けられており、一般細菌数などや化学物質など51項目各々基準値が決まっています。
そして各地域の水道局では浄化装置で、常に清浄度を管理しています。しかし、家庭等 での井戸水の衛生管理は自己責任となっていますので、定期的に水質検査が必要となります。
特に東日本大震災後に、災害時の断水対策として井戸水を利用する医療機関も増加しており、井戸水の安全管理がクローズアップされております。
以前、千葉県の旧国立佐倉病院において、透析患者さん46人が貧血症状を発症し、うち5人が入院した事故が起きました。その後の調査で、透析に使用する水を、水道水から丼戸水に変えたことと、水の清浄化装置の異常により塩素化合物の除去が不十分となっていたことが原因でした。
透析に使用する水は、先の様に日に13t以上使用していますが、その水は水処理装置で清浄化します。その装置はカルシウムやマグネシウムを除く軟水化装置、カルキなどの塩素化合物を除く活性炭装置、そしてほとんどすべての物質を除くRO膜装置から構成され、 不純物を除去しています。このRO膜装置は、海水を真水にする装置にも使用されています。
また、これらの装置の管理は、臨床工学技士が透析治療業務と併せて担当しています。近年(2012年)、透析液を更に清浄化して、補液として血液に注入する新たな透析装置が 使用され、更に厳格な清浄化管理が要求されています。
血液に注入させることは、注射薬の基準を満たすことであり、lt中に細菌が1ケ以下と言う基準です。これは実測不可能な値ですが、これを補償するシステム管理によって実現 しています。
この管理技術は世界で日本が最も進んでおり、急速に透析が普及して既に40万人を突破している中国から、日本の透析技術が求められています。
昨年暮れに、私は上海政府の依頼で、透析技師認定試験制度を立ち上げ、その制度の特任顧間として技術移譲を行っているところです。
中国では黄河などの大河下流の水資源問題が深刻となっていることや、大陸特有の水質の悪さが著しく、水の清浄化が大きな課題となっています。
透析は大量の水と電気が大変重要なインフラで、どちらも欠くことができません。私のクリニックでは、災害対策として、水は地元の水道局と緊急運送のために消防署、電気は東電にあいさつ回りしております。
途上国で常に問題となることは、断水と停電です。ミャンマー最大都市のヤンゴンの最新の新ヤンゴン病院においても日に10回 以上の停電が起きています。
水資源に恵まれた日本に生活できることに感謝しつつ、更に途上国への医療支援事業を推進して行きたいと考えております。
プロフィール
<学歴>
1973年 3月 東京電子専門学校医学電子科卒
1976年 3月 北里衛生科学専門学校臨床検査科卒
<資格>
1976年 4月 臨床検査技師 (厚生大臣免許)
1976年11月 透析技術認定士(学会認定)
1988年12月 臨床工学技士(厚生大臣免許)
<職歴>
1973年4月 旧労働福祉事業団関東労災病院腎セン
ター勤務
1989年5月 労働福祉事業団関東労災病院を退職し
帝京大学市原病院腎センターヘ移籍
1994年8月 帝京大学市原病院を退職し前田記念腎
研究所茂原クリニックへ移籍
2002年3月 社団法人日本臨床工学技士会設立代表
者として指名され、厚生大臣の許可を得て会長と
なる
2012年4月 内閣総理大臣の認可を得て公益社団法
人日本臨床工学技士会の会長となり、現在に至る
2013年 透析排液熱回収装置の考案し、経産省エコ
大賞受賞
2013年 日本腎臓財団功労賞受賞
2015年 上海血液浄化品質管理センター特任顧間
<所属学会等>
(社)日本臨床工学技士会 (会長)
(社)日本透析医学会元評議員 同会学術小委員会特
 別委員、
日本人工臓器学会(会員)
日本医工学治療学会(理事)
日本血液浄技術研究会(元副会長)
日本アフェレーシス学会(会員)
千葉県臨床工学技士会(前会長)
財団法人医療機器センター(評議員)
財団法人国際医療技術交流財団(評議員)
<研究等その他>
ヘパリンモニタとしてのACTの考案
我が国初のフルPC制御透析装置の開発
臨床工学技術法の法制化活動
臨床工学技術法の現任者代表
透析技術確率のための活動
2月17日 有田焼操業400年の歴史と色鍋島 今右衛門
今泉 善雄 様(東京西RC)
文禄・慶長の役後に連れ帰ってきた朝鮮人陶工らによって有田で磁石(じせき)が発見され、1616年に日本で最初に磁器が焼かれてから今年で400年になります。私はその有田で370余年の赤絵付の歴史を持つ今右衛門窯13代今泉今右衛門の長男として生まれ、現在は(有)今右衛門陶舗の代表取締役として、現代の人々の暮らしを豊かにすることを理念に掲げて仕事に取り組んでいます。
 まず、有田焼、伊万里焼、色鍋島、古伊万里の違いですが、鍋島藩のお殿様のために藩内で造られた御用品の焼物を鍋島と呼び、その中でも特に色絵が施されたものが色鍋島です。江戸期、国の内外で販売されたものは、積み出した港の地名から古伊万里と呼び、区別されています。
また、有田焼、伊万里焼は、現在の生産地の市町村名から呼ばれています。今泉家は江戸期に、献上品・城中御用品として作られた色鍋島の赤絵付(色絵・上絵付)を家業とし、藩の御用赤絵師を代々承ってきました。スライド4番の今右衛門家本宅の2階に作業場があり、1階の屋根瓦は赤色のベンガラが流れた跡で赤く染まっています。廃藩置県後の明治6年からは、素地造りからの一貫生産を始め、度重なる苦境を乗り越え現在14代を重ねます。
 6番に下部が欠けたような皿がありますが、これは西洋の王侯貴族からの注文品で、伊万里港から輸出されました。くぼみ部分に顎を載せ、ひげそりに使用した髭皿です。
 9番の色絵宝尽し文皿は、現存するのは美術館などで7枚が確認されていますが、バブル期に無傷で1億円くらいの値段がついた事があったと聞き及んでおります。
 10番は大正期11代作の色絵唐子文皿です。唐子は古伊万里にはありますが鍋島にはない絵柄で、明治になり、鍋島藩が途絶え、全てが古伊万里からの絵柄の注文になりました。
 11番の色絵桃文蓋物、色絵桃文皿は、戦前、鍋島の復興をとの事にて宮内省よりご注文があり、昭和天皇の皇后様(香順皇后)のお印・桃にちなんで制作したもので、完成後に、献上品以外は警察官立ち会いのもとで砕いたと言われています。市中で似た柄が制作されているのも見かけますが、今右衛門ではこの器はお造りすることはありません。ちなみに、花の描き方として、桜は花びらに切り込みが入り、梅は丸く、桃花は先を尖らせて描きます。
 13番の更紗文蓋付瓶ですが、更紗は繋がり文様のため、家が代々繋がるという平和を意味し、13代が好んだ絵柄です。色鍋島に吹墨・薄墨の技法を取り入れ、新たな色鍋島の世界を確立しました。
 14番の墨はじきと呼ばれる技法は、江戸時代からあります。14代は、白抜きの「墨はじき」の技法を探求する中で、目に見えるところだけではなく、見えにくいところにも神経と手間を惜しまない色鍋島の精神性に気付かされ、一手間、二手間かけた墨はじきの技法を駆使し多くの作品を制作しています。
 17番の層々墨はじきは、深緑色の雪文の部分だけ8回も染付を掛け、ここだけ無釉にして焼いたもので、大変手間のかかった作品です。
 21番に有職文の小さな器が並んでいます。これは側面を少し外側に膨らませて作るとちょうどまっすぐに仕上がりますが、まっすぐに成型すると焼いた時に内側にくぼんでしまうので、何気ない形ですが難しいのです。また、出来上がった作品は手に持った時、上に重心があると軽く、下に重心があると重く感じるので、器を選ぶ際に知っておくと便利です。
 祖父12代の時代から国の重要無形文化財保持団体の認定を受け、江戸期の色鍋島の制作技術に準じ、ろくろによる成型、手描きによる染付(呉須・下絵付)、赤絵付、薪窯にての本窯焼成を行っています。一昨年、14代今泉今右衛門が人間国宝の認定を受けましたが、正式には重要無形文化財保持者です。父13代も、保持団体認定、個人認定を受けております。今右衛門窯ではすべての工程を分業で行っていますから、団体認定というのはオーケストラ、個人認定は名演奏家当代を中心とした5重奏のようなものだと言えます。
 今右衛門には色絵具の作り方、調合法が代々伝わっていて、今もって同様な材料、同様な調合です。赤はベンガラ、酸化鉄です。黄色も酸化鉄ですが調合で色が変わり、今右衛門の黄色は黒っぽい黄色です。調合で面白い事がありました。以前、有田窯業大学校時代に、江戸期の鍋島の分析成分データー通りに器を制作しましたが、味気ないものができあがりました。数字に表せない成分もあり、この微量な数種類が深みのある江戸期鍋島を作っていた事を知りました。このような事もふまえ、今も、江戸期の色鍋島に劣らない品格のある器を造り続け、皆様の心豊かになる生活空間を提案し続けております。
 どうぞ、有田焼を、また今右衛門をご愛用頂けますようお願いいたします。ありがとうございました。

プロフィール
昭和33年12月6日 佐賀県西松浦郡有田町にて13代今泉右衛門の長男として生まれる。弟は14代今泉右衛門

昭和52年4月 多摩美術大学絵画科日本画専攻入学
昭和56年3月 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業
昭和60年4月 佐賀県立有田窯業大学校 入学
昭和62年3月 佐賀県立有田窯業大学校 卒業

昭和56年4月 徳田正彦陶房 入社
昭和57年11月 徳田正彦陶房 退社
昭和57年1月 合資会社 今右衛門 入社
昭和62年6月 有限会社今右衛門陶舗 設立
平成14年1月 有限会社今右衛門陶舗 
代表取締役 就任
平成19年4月 東京西ロータリークラブ入会
2月3日 世界を覆う2つの危機ー石油大国サウジ・イランの対立とISテロの拡散ー
佐々木 伸 様(東京西RC)
新年早々から中東発の2つの危機が世界を覆っている。1つはペルシャ湾の石油大国であるサウジアラビアとイランの断交に伴う中東の分断、もう1つは過激派組織「イスラム国」(IS)のテロの世界的な拡散。本日はこの背景について説明し、今後の見通し、日本との関わりについても述べる。
1、サウジとイランの断交
(1)シーア派指導者の処刑と大使館襲撃
 ▽サウジは1月2日、全国で国際テロ組織アルカイダのメンバーら47人を斬首などで処刑。その中に14年10月に「宗派対立の扇動」容疑で死刑判決を受けていたシーア派指導者シェイク・ニムル・バクル・ニムル師(56)が含まれていた。同師はシーア派教徒には著名な人物。
 ▽この処刑にイランの首都テヘランで怒った群衆がサウジ大使館を襲撃、放火して建物の一部を破壊。数十人が拘束。イランはサウジの処刑を非難。「必ずや神の報復を受けるだろう」(最高指導者ハメネイ師)、「サウジは重い代償を払うことになる」(革命防衛隊)
 ▽サウジは3日、イランとの断交を発表。これにバーレーン、スーダン、ジプチ、ソマリアの4カ国が追随。アラブ首長国連邦(UAE)、クウエート、カタールが大使引き揚げの外交関係を切り下げ。アラブ連盟もイランの内政干渉を非難→サウジとイランの対立が周辺諸国を巻き込んで石油資源の宝庫、ペルシャ湾岸一帯やアフリカに広がり、中東分断の様相。
(2)日本が石油を大きく依存する地域
 ▽サウジとイランは、石油の生産量(14年)で言えば、世界第2位と第7位、また埋蔵量でも世界2位と第4位の資源大国。日本の原油輸入の83%は中東から来ているが、その中でもサウジ(33.3%)、イラン(4.8%)と合わせて約40%近くになり、両国に大きく依存している。
 ▽現在のところ、両国の対立がペルシャ湾や出入り口のホルムズ海峡に影響が出る直接衝突に至る可能性が小さいと見られていること、米国などのシェール石油の開発や中国の景気減速で供給がだぶついていることから原油市場に危機感が乏しく、原油価格はなお低水準(1バレル30ドル台)にある。しかし緊張が高まっている時に、何が起きるか分からない。日本にとっては爆弾を抱えているようなもの。ガソリン代など私たちの生活にも直結、第1次オイル・ショックではトイレットペーパーも店頭から消えた。
2、対立の背景―なぜ対立が起きているのか
(1)民族と宗派
 ▽両国は第1に、民族が異なる。サウジはアラブ人であり、イランはペルシャ人。歴史的にも対立を繰り返して きた。ペルシャ帝国、イスラム帝国の勃興。イランにはアラブ人を蔑視するような傾向も。
 ▽第2に、スンニ派とシーア派というイスラム教の2大宗派の長らく続いてきた対立。イスラム教の9割はスンニ派、1割がシーア派。サウジは聖地メッカを抱えるスンニ派の守護者。イランはシーア派の盟主。それぞれ指導的な立場にあり、ライバルとして、敵対心と相互不信。国力はサウジが人口3150万人なのに対してイランは7900万人と圧倒。
(2)ホメイニ革命波及への恐怖
 ▽とりわけ79年の「ホメイニ革命」以来、サウジはイランのシーア派革命がペルペルシャ湾の対岸のスンニ派王制諸国に輸出されることを極度に懸念。イランに対して強い恐怖感。国内に反体制シーア派を抱え、王政打倒につながりかねないからだ。
▽サウジの人口の15%は油田地帯の東部に集中するシーア派教徒。 バーレーンにいたっては人口の半分以上がシーア派。 シーア派教徒はスンニ派の王家ら支配層が政治的、経済的な独占、とくに石油収入を独り占めしているという不満。イラン革命に触発され反政府運動を活発化させては弾圧されてきた。
▽1988年には、メッカの巡礼の際、イラン人巡礼者が治安部 隊との衝突し275人 が死亡したことをきっかけに2年間断交した過去もある。
(3)アラブの春で不信感増大
 ▽サウジの懸念が強まったのは、2011年のアラブの民衆による民主化運動「アラブの春」の時だ。エジプトなどで独裁政権を倒した「アラブの春」がペルシャ湾岸にも押し寄せ、シーア教徒による反政府行動が激化。この時サウジは自国の反政府運動を力で封じ込めた後、バーレーンに戦車 部隊を送り込み、鎮圧した。サウジはこうした反政府運動の高まりの背後では、「イランが糸を引いている」と不信感。
(4)シリアとイエメンで代理戦争 
 ▽イランの影響力拡大を恐れるサウジはシリア内戦では、イラン支援のアサド政権と敵対している反体制派を支援、イランはアサド政権を軍事、経済的に支援。革命防衛隊を派遣。
 ▽隣国イエメンでも昨年起きたシーア派のフーシ派によるクーデターの背 後にもイランが介在しているとして、イエメンへの軍事介入に踏み切った。イエメンはサウジの裏庭であり、それだけにここにイランの拠点が築かれるのを恐れた。
 ▽イランの戦略の柱の1つはシーア派ベルトの死守。イラン、イラク、シリア、レバノンというシーア派多数派国を配下としてシーア派枢軸構築。シリアのアサド政権を支援する理由。
(5)パワー・バランスの激変
 ▽サウジの焦りに拍車を掛けているのが、中東のパワー・バランスの変化。同盟国で、安全保障を依存していた米国が中東から撤退しようとしており、そこに力の空白が生まれているということだ。オバマ政権はイラクとアフガニスタンからの軍撤退をしゃにむに進めているが、きちんとした後始末をしないまま、イラクから撤退してイスラム国(IS)の台頭を招いた責任は大きい。
 ▽米国は宿敵のイランと急接近して核合意を達成。サウジから見れば、これは米国の「背信行為、裏切り」。 だからサウジは今回のシーア派宗教指導者ニムル師の処刑で2つのメッセージを送ろうとした。1つは、イランやシーア派 に対してのもので、サウジなど湾岸諸国でのシーア派の反政府活動は「絶対に容認しない」ということ。
 ▽もう1つは、米国に向け。米国が中東から逃げ出し、しかもイランと手を組むというなら、「もう、米国は当てにしない。自分たちでイランと対決する」ということ。サウジが水面下で、イランの宿敵、イスラエルとの接触を活発化させているのも、こうした背景があるからだ。
3、緊張緩和の見通し 
(1)冷静なイランの対応
 ▽結論から言うと、イランとサウジが戦争のような直接衝突する可能性は双方の利益にならないので小さい。しかし緊張は当面続く。特にイラン側の冷静さが目立つ。
 ▽最高指導者ハメネイ師は大使館襲撃を「悪行」、ロウハニ大統領は大使館を襲撃した群衆を「ならず者」と呼んで非難。イラン側は対立をこれ以上激化させたくないというのが本音。というのも、イランは、長年に及ぶ米欧との核交渉で昨年夏にやっと合意に達し、苦しんできた経済制裁が解除されつつあり、 原油輸出を拡大して、外国からの投資を呼び込み、これから新たな経済発していこう、という思惑。
 ▽サウジや湾岸諸国などとの対立が激化して緊張が高まれば、イランのこうした思惑も頓挫、解除によって入ってくるはずの凍結されていた300億ドル以上の現金の取り戻しに悪影響が出かねない。ロウハニ 政権としては、事態をこれ以上悪化させないで、メンツがたつ形で軟着陸させたいところだろう。ロウハニ大統領の欧州訪問でイランに投資ブーム。
(2)不気味な保守派の動き
 ▽しかし政権がそうであっても、 核合意に反対し、反米を掲げる国内の保守・強硬派は違う。2月の議会選挙も近い中 で、今回の事件を利用して、ロウハニ政権 になんとかダメージを与えようとするのではないか。その意味で、保守強硬派は 対立の激化をむしろ望んでいるとも言え、 例えば革命防衛隊の強い影響を受けるシーア派教徒が湾岸諸国やレバノンなどのサウジの公館を狙う懸念もある。
4、拡散するイスラム国のテロ
(1)シリア和平頓挫の恐れ
 ▽イスラム国掃討についての、米欧やサウジの基本的な考え方は、2段構え。第1段階でシリアの内戦を終結、第2段階で、全勢力が一致してイスラム国壊滅に当たる、というもの。なぜならば、イスラム国と戦う地上部隊の主力になるシリア人スンニ派反体制勢力はアサド政権が存続している限り、アサド政権打倒を優先し、イスラム国と本気で戦うことをしないからだ。
 ▽米国のケリー国務長官が中心になって国連安保理決議を採択、シリア和平協議の枠組みを発足。1月29日からジュネー ブで協議開始。間接的な国連のデミストラ特別代表による”御用聞き協議”。 両国の関係が悪化したことにより、互いに譲歩や歩み寄りをする余地はなくなってしまった。協議の入り口で頓挫してしまう恐れ。結果として、イスラム国との戦いのシナリオが崩れることになり、関係悪化は大きなマイナスだ。
(2)追い込まれるIS
 ▽ISはイラクで西部の戦略都市ラマディを奪還されるなどシリアとイラクの戦況では劣勢に追 い込まれている。米軍によると、ISは昨年、「イラクで40%、シリアで20%、両国合わせて30%」の領土を失った。
イラクの大都市で依然占領されているのはモスルなど2つだけ。
(3)テロ戦略を転換―海外のソフト・ターゲット狙う
 ▽ISは劣勢を跳ね返すように、これまでの領土を守るという内向き戦略から、海外のソフト・ターゲットを狙うテロ戦略に転換。自分たちの力が残っていることを誇示しようする動き。その最たるものが昨年、11月13日のパリの同時多発テロ。→現場に行ってきた。130人死亡。バタクラン劇場。
 ▽この前にも、・2015年10月10日トルコ・アンカラで自爆テロ、100人死亡。
・10月31日、シナイ半島でロシア旅客機爆破、224人死亡(シナイ州)
 ▽今年に入ってからも激化。
・パリの風刺新聞社シャルリ・エブド襲撃から1周年の2016年1月7日、パリの同時多発テロの現場に近い警察署に男が襲撃、射殺。ISの旗を持っていた。
・米国でも7日、IS信奉者が警官を銃撃、
・リビアでも同日、65人が犠牲になる自爆テロ。
・エジプトのリゾート地ハルガダやカイロのピラミッド周辺でもテロ事件
・バグダッドを含めイラク全土でもテロの嵐。48人死亡。
・イスタンブールで自爆テロ。12日。10人死亡。8人がドイツ人。
・13日も南東ディヤバクル県の警察署前で自爆テロ。
(3)ジャカルタ・テロ
 ▽遂にアジアにも。最大のイスラム教国のインドネシア・ジャカルタの中心街で14日、銃乱射や手投げ弾、自爆によるテロ。カナダ人ら4人死亡。犯人も4人が死亡。13人がテロ関与で拘束。実行犯アフィア容疑者らに指令したのは、ISの戦闘員バルン・ナイム。14年にシリア入り。インドネシアからシリアへは最大700人入る。50人はすでに帰国。
 ▽インドネシアでは過去、2002年にリゾート地バリでジャマ・イスラミアによるテロ、202人死亡。2009年にはジャカルタのマリオットなど高級ホテル2軒を狙うテロ。1万8000人の邦人社会に衝撃。テロ現場のスタバのビルには日本人会事務所。
 ▽IS絡みのテロの多くは、直接指令というよりもむしろ一匹狼型の「呼応テロ」だが、ジャカルタのテロはパリの同時テロと同様、IS本部の指令による組織テロだ。「シリアで計画され、インドネシアで準備され、ジャカルタで実行」というパターン。
 ▽序章。しかしこのジャカルタ・テロは「序章」ではないか。次はマレーシアやフィリピンなどでも警戒が必要。邦人が巻き込まれる懸念。1月31日にダマスカス近郊で71人死亡のIS自爆テロ。

経歴
72年 共同通信社入社。大阪社会部を経て本社社会部
79年 外信部
82年~84年 ベイルート支局長
85年~89年 ワシントン特派員
92年~95年 カイロ支局長
96年~98年 外信部デスク
2000年 人事部長
2004年 ニュースセンター長
2005年 編集局長
2006年 総務局長
2007年 大阪支社長
2008年 共同通信会館代表取締役専務
2012年 同社顧問、共同通信社客員論説委員
2013年 星槎大学客員教授(現代中東政治)

著書 レバノン戦争(共同通信社)
    ホワイトハウスとメディア(中公新書)
    ペルー大使公邸人質事件(共著・共同通信社)
    訳書 ホワイトハウス報道官(共同通信社)
専門  中東並びに米国政治、国際テロリズム、通信社論、マスコミ一般

最近の活動  社説など執筆活動、雑誌ウエッジへの執筆、全国での講演、DHCシアターTV「中東メルトダウン」主催、フジTV「ホウドウキョク」などに出演。
11月25日 世界の医療団
玉手 幸一 様   森川 すいめい 様
生きやすさを生み出す
3つのプロジェクトと1つの未来
「本人に聞くということ」   

マネジメントを

玉手 幸一 様


森川 すいめい 様
川内村…本人に聞くということ①
「認知症になっても農業をしたいと思うプロジェクトが生まれた理由」

川内村 こころのケアプロジェクト

2012年1月 川内村 帰村宣言
たが、村民約2,800人の内 週2~3日帰村者含む帰村率は 59%、完全帰村率は22%にとどまっている(2015.10月末時点)

福島県双葉郡川内村について(1)

川内村役場前の風景

福島県双葉郡川内村について(2)

天然記念物モリアオガエルの生息地

福島県双葉郡川内村について(3)

2011.3.12 隣接の町から6,000人が川内村福祉保健施設(ゆふね)に避難。
2011.3.15川内村全住民にも避難命令が下された

福島県双葉郡川内村について(4)

民家の庭に積まれた除染土

川内村支援のきっかけ

川内村 眠りのコツ講座(郡山仮設、川内村集会所)

眠りのコツ講座戦略
岩手県大槌町、福島県川内村、茨城県常総市
〇自殺/様々な背景
→待つことができれば何とかなるかもしれない
→待つことができないひとは誰か?

《target》眠れないひと
《付加価値》不安に圧倒されなくなる
《成果》自殺で亡くなる人が減る
《計画》口コミで『眠りにはコツがあるんです』が広まる


川内村に入った日
行政と住民の不仲はどこの被災地でも
住民:「行政は何もしない」
行政:「住民は依存している」

行政の問題点:マネジメント
予算型「高齢者見守り事業」
住民に話を聞かないで行う「書類仕事」
…「役割分担」

職員さんが住民を好きになった
住民のところで住民主体の話し合い
「老人になったときにどう生きたいか?」
認知症になっても農業がしたい
施設づくり→村づくり

世界の医療団日本の立ち位置が決まった
ひとびとが人生を試す過程の中で
このとき起こりうる認知症への不安
立ち止まってしまうきっかけにもなる不安
この不安を取り除く

個別の課題を解決する

認知症患者・家族相談会

地域の支援者全員で考える

保健福祉課・警察・ケアマネ・親戚が集まってのケアカンファレンス

強みに強みを重ねる・・・婦人会パワー

婦人会 認知症サポーター講座

できるだけ自分たちで話し合う


行政と住民が一体になる

婦人会 認知症サポーター講座 演劇

早いうちから偏見をなくす

認知症授業(川内中学校)

男女平等の地区は認知症を抱えるひとへのサポート力もある「ごはんはまだか?」の答えは医者に聞かなくていい」

川内村2区での認知症サポーター講座

岩手県大槌町


岩手県大槌町
アルコール依存症事例検討会


常総市洪水被害


茨城県常総市「眠りのコツ講座」


本人に聞くということ②
精神疾患発病者の5年後85%が回復継続 
オープンダイアローグ/フィンランド

歴史
1950年代まで 身体障がい者も含め多くの障がいをもつ人が精神科病院に暮らしていた
多くの国で精神科病院が減少…『人権とお金』
フィンランド/トルニオの選択
…病院に家族を呼んだ
【1/5】
日本は、世界で1番精神科病院ベッド数が多い


オープンダイアローグ
(開かれた対話)
・本人とみんなで対話する
・ホライゾン
・ポリフォニー
・本人不在の中で本人のことを決めない
・事前カンファレンスなし
・事後カンファレンスなし
・リフレクティング
「地域のネットワークから外れる」「人との関係の中で発症する」 → 最初からネットワークの回復を目指す

椅子の向きで何もかもが替わった
医者の気持ちを揺らす形 ポリフォニーの中で気付く
 

本人に聞くということ③
ハウジングファースト
支援者目線のステップアップ支援の終焉

比較
従来型           ハウジングファースト
・まずはシェルター     ・まずは安定住居
・生活評価         ここからスタート
・ご褒美としての住まい ⇒生活しながら支援
ここで終わり       →失敗する機会も奪わない
→失敗したら自分の責任

ホームレス350万人の国フランス 
4000億円の行き先


東京プロジェクトはクリニックを創ります
東京プロジェクトのイノベーション!
・オープンダイアローグ
・べてるの家との共同
・医者はボランティア(3年間)
・診療報酬でソーシャルワーカーたくさん雇う
 
11月11日 海外支援「Japan Day」報告
磯野 共余 会員(横浜あざみRC)
タイ北部の街、チェンライのダムロン高校で行われた第8回「JAPANDAY」に参加してきました。この企画はタイで日本語教師として活動をされている原田義之さんが、チェンライの高校生の中で日本語を選択している子ども達を中心に日本の文化、日本の理解を深め、タイと日本の交流を図るために企画されました。
開催日 :2015年11月7日(土)
開催地 :タイ国チェンライ・国立ダムロン高校講堂
開催時間:朝8時から午後5時(受付開始7時半)
参加者 :195名 
1.チェンライ県内高校 日本語科学生160名
2.学校関係者 15名
3.チェンライロータリークラブ 6名
4.主催者(しゅさいしゃ)  14名(日本からのNPO奉仕参加者(6人)ロータリー関係者 (7人))
午前に開会の挨拶、セレモニー、その後に日本料理としてやきそば、たこ焼き、お好み焼き、手巻き寿司、味噌汁を子ども達と一緒につくりました。
午後は日本文化の紹介、書道、万華鏡作り、生け花、平和の絵、日本の唱歌などをクループで分かれて行いました。また日本からお菓子を用意し、ビンゴゲームを楽しみました。
ダムロン高校は進学校で生徒数も3000人と大規模校です。子ども達みなさん素直で可愛くて、片言の日本語で話しかけてくれ短い時間でしたが楽しい時間を過ごすことができました。
また11月8日は原田さんが支援をされているアカ族の施設「夢の家」を訪問しました。
道中、子ども達が楽しみにしているカレーの材料やお菓子などを買い込み、車で1時間以上、山奥に。子ども達は私達が到着すると迎えにきてくれ、私達のためにカレーを手際よく料理し、子ども達の手作りカレーを堪能することができました。
また、個人やロータリーの支援でできた図書館、トイレ、部屋などを見学、支援金が使われた施設を実際にみることで「募金」の言葉を体感でき
「百聞は一見に如かず」今回の見学ではこの言葉が頭から離れません。
また、もう一つ、頭から離れない言葉があります。
「夢の家」にいる子ども達の親は「まともではない」・・・そんな話を聞きました・・・「夢の家」
子ども達が夢を持てるようにと、そんな意味を込めてつけられたそうです。子ども達が夢をもち、実現に近づきながら成長していけることを願い、また来年も参加したいと思いました。
   
10月21日 米山奨学月間卓話
許 如怡 さん(米山奨学生)
今日は自己紹介と上海についてお話をさせていただきます。
まずは私の名前についてお話ししたいと思います。
私の名前の漢字は、許如怡です。許は名字です。如は如実の如で、中国語での意味も日本語での意味と似ており、〜のような、ように、という意味です。怡は現在使われていませんが、昔の日本語にはありました。よろこびと読みます。中国語でも、幸せ、よろこびを意味します。母親の「幸せな人生を送りますように」という気持ちが込められていると思います。
私は中国の上海から参りました。現在は慶應義塾大学商学部三年生です。三年生から、深尾光洋教授の研究会に入り、国際金融とコーポレートガバナンスについて勉強しております。そして、日本語を上達させるため、日本文化に対する理解を深めるため、慶應書道会とボランティアサークルライチウス会とOVAL JAPANという三つのサークルに入っております。
慶應書道会は、慶應の二番目古いサークルです。戦前から活動しており、戦争で活動中止になっていましたが、戦後から再開されました。基本的な活動は、週二回の練習会と年三回の合宿と年三回の展覧会です。書道会は長い歴史を持ち、OB・OGの方々とのつながりがとても深いです。どちらかと言いますと、かたい雰囲気のサークですが、日本文化のこの一面を経験できて、とても勉強になります。
ボランティアサークルライチウス会も長い歴史を持っています。私は世田谷区の友愛園という施設で週一回身体障害者の方々と勉強会をやっております。パソコンの基礎スキルを一緒に勉強したり、歴史の本を一緒に読んだりして、とても楽しくて、いつも元気をもらっています。また、年数回施設外活動の企画と運営も頑張っています。今年の10月も運動会が行われました。瑤子様が実行委員長をなさって、慶應義塾大学と学習院大学と日本体育大学と皇宮警察学校という四つの大学で協力しながら頑張りました。このような、皇室の方が親身に民間活動に参加する姿を見て、とても感動しました。
OVAL JAPANの正式名称は「学生のための国際ビジネスコンテストOVAL」です。OVALは2003年に結成され、2005年以来、毎年日中韓いずれかの国でコンテストを開催しており、2015年は東京にて "OVAL Tokyo 2015" が開催されました。OVAL JAPANは中国・韓国の実行委員会であるOVAL CHINA, OVAL KOREAと協力してコンテストの企画・運営などを通して、二つのMissionの達成を目指しています。一つは「東アジア発のグローバルリーダーの輩出」、もう一つは「日中韓での国際的な協働体験を学生に提供」。異文化間でもいくらか中性的なツールであるビジネスを媒介としていて、またビジネスプランの優劣が測定可能であるという性質を利用して、日本の学生に中国・韓国という異文化に属する学生と妥協のない真剣な議論を行い、グローバルリーダーを目指す意識のきっかけを提供することを試みています。中国韓国から優秀な学生たちが集まって交流して、とてもいい刺激を受けました。
次に、上海について簡単に紹介したいと思います。上海の2012年6月末の常住人口は2,433.4万です。このうち上海戸籍人口が1,451.1万、外来人口が982.3万人となっています。統計によると、ここ10年間、上海市は平均で約66万人口が増え続けています。2012年には60歳以上の高齢者の人口比率が17%となっています。現在上海市家庭総数の61.06%に当たる305万世帯が一人っ子家庭です。高齢化と少子化問題は、市政府にとって大きな課題となっています。近年、中国の優秀人材に上海の戸籍を発給したり、上海人に2人の子を産む許可を出すなどの人口政策を打ち出しています。それで、上海の戸籍問題も常に議論されています。中国は人口問題を抱えるため、農村と地方都市の人は自由に大都市に移住することができません。それにもかかわらず、近年の経済発展に伴って多くの出稼ぎ労働者が中国各地から上海に来て仕事をしています。その数約660万人以上といわれるが、正確な数字の把握は難しいです。出稼ぎ労働者の出身地はいずれも標準語を使う四川省、江蘇省蘇北、安徽省、東北地方(旧満州)の者が多いです。出稼ぎ労働者は上海を建設すると同時に、大きな社会問題と治安問題を招いています。公安機関の統計によれば、上海市の75%以上の強盗、殺人、暴行などの悪質な犯罪は市外の中国人により発生しています。したがって、上海では北京市と並び、中国大陸において最も厳しい戸籍政策がとられています。しかし大都市の戸籍を持つ人には様々な特権があります。例えば、親が上海戸籍を持つ者なら、子供が生まれたとき区の社会保険局から15万円から数十万円までの援助金を得ることができます。戸籍を持つ子供は優先的に幼稚園、小学校、中学校に進学できます。一方、上海戸籍を持たない者は、上海の大学受験に参加できません。中国は都市と地方の格差が激しいため、日本やアメリカ、台湾、香港などの外国と地域への観光査証発行は、上海など沿岸経済発展地域の戸籍を持つ者に限定されます。また、一部の悪質な会社は、上海戸籍を持たない社員に住宅積立金、年金を支払わないケースもあります。このような戸籍問題に関するトラブルは絶えません。
次に、上海の有名な観光地を紹介したいと思います。まずは外灘です。「外灘」という名称は、「外国人の河岸」を意味する。この一帯は19世紀後半から20世紀前半にかけての租界地区(上海租界)であり、当時建設された西洋式高層建築が建ち並んでいます。租界時代の行政と経済の中心であったことから現在も官庁と銀行が多いが、租界時代のレトロな雰囲気を売り物にしたバーやレストランなどが建物の中に入るようになり、お洒落な街並みに変貌しつつあります。
次は、豫園(よえん)という明代の庭園です。「豫」は愉を示し、すなわち「楽しい園」という意味です。面積は約2万m²です。もとは四川省長が、父のために贈った庭園で、1559年(嘉靖38年)から1577年(万暦5年)の18年の歳月を費やし作られました。清代初頭、廃園になったが、1760年(乾隆25年)、上海の有力者たちにより再建されました。1961年に一般開放されました。
最後に城隍廟について紹介したいです。文化大革命の時に、老城隍廟は襲撃を受けて、神像は破壊され、廟の建物は他の用途に流用されました。1994年老城隍廟は修復されて、再び道教の寺院となりました。老城隍廟の周辺は上海の最も古い商業地区として発展し、各種のレストラン、骨董の店舗と日用雑貨の市場がずらりと並んで、小籠包などの点心が最も有名です。
 
10月7日 地域経済発展の月間に関する卓話
山下 正人 様(横浜市市会議員)
政治の大きな役割は、言うまでもなく、所得の再分配を決める事です。その観点から言えば、税の使途は福祉が基本であり、『自助・共助・公助』の観点で配分されるべきであり、公助の大きな役割は福祉事業である事は紛れもない事実であります。
しかし、税収が上がらなければ、福祉事業を充実しようにも財源がなく将来につけを残さざるを得ないと言えます。その意味では、やはり、経済政策が重要であり、国も基礎自治体である横浜市も経済政策は大変重要な施策であると言えます。
その中で、昨年発表された“増田レポート“は世間に大きなインパクトがありました。2040年には地方自治体の900近くが消滅する。という衝撃的な内容に、政府の地方創生の動きが加速したと言えます。
全国の地方自治体は地方経済再生にシフトがかかった契機になったと言えます。
ところで、横浜市は地方都市か?と聞かれると、一地方自治体である一方で、人口372万人を超える大都市でもあります。経済圏で言えば、東京を中心とする首都圏の一角を占める一方で、東京の本社に対する支店が中心の支店経済と言えます。
現実に、横浜市の市税収入は7075億円。法人市民税は548億円、個人市民税は2922億円。比率にして7.7%です。
東京ですと、総税額4兆7397億の内、法人都民税額は9155億。比率にして約20%、ちなみに、名古屋市は市税総額5035億円の内、法人市民税は702億円。比率にして、約14%です。
個人住民税の比率が高いという事は、悪い事ばかりでなく、市税収入が景気に左右されないというメリットもある訳です。つまり、横浜市は個人住民税と固定資産税の割合が高く、市の財政状況は安定をしていると言えます。
ちなみに、青葉区は個人住民税の納税額は320億円あり、一人当たりの納税額も唯一10万円を超えて、18区中1番の納税額です。
横浜市はミニ東京を目指すのではなく、東京にないONLY横浜を目指すべきと考えています。横浜の強みを活かして横浜経済を強くしていく、その方向性で中期4カ年計画も推進しております。
例えば、ライフサイエンス分野・環境分野などはその一環であり、関連する企業の積極的な誘致に取り組んでおります。
我々自民党もマニュフェストで水素社会の実現を目指し、FCV2000台を導入目標に掲げました。これはもちろん、温暖化対策であり、再生可能エネルギーの推進の目的でもありますが、一方で、新たな技術は新たな産業を創出します。経済発展の目的でも有益な手法であると考えています。
青葉区に視点を移すと、30万人都市であり、都市農業も盛ん、区内の緑被率も高く優良な住宅街が広がる洗練された街というイメージが強いといえます。横浜も18区其々に特徴があり、各区の特徴を活かした地域経済を作っていかねばならないと考えますが多くな課題も一つあります。
それは、東京23区の区の様に、各区に自治権がない事が大きな課題です。私は先の選挙で「総合区制度」を検討すべきと主張しましたが、現行では議論が進んでいないのが現状です。
青葉区の特徴を考えた、地産地消の商品開発を行なう企業が創業を始めたり、地域電力を考える企業が立ち上がったりするのも、青葉の特徴を良く表しています。
今年は戦後70年の節目の都市です。戦後、焼け野原になっていた国土を世界第3位のGDPを誇る経済大国に押し上げていたのは、我々は教育の成果が大変大きいと考えます。“資源のない国だからこそ、人材という資源が輝いている”私は、教育を政治家としてのライフワークとしています。
卓話の最後に、お願いごとを一つ。
横浜市は「世界を目指す若者応援事業」というものをスタートしました。RCでは米山奨学金という制度がありますが、私が在籍していた横浜田園RCでは中国・韓国の留学生を支援する事も大事だが、我が国の子供を対象にした奨学金制度をクラブ独自で始めました。この横浜市の制度も、文科省は外国の留学生支援のメニューは充実しているが、我が国の学生が海外に飛び立つ事に対しては消極的です。
だから、有志の議員でプロジェクトを発足させ制度設計をしました。
問題は財源に税金を投入しづらい仕組みになっているので、篤志家の方にご寄付をお願いしています。皆様方のご協力をお願いして卓話を終了させて頂きます。
 
9月30日 ガバナー公式訪問卓話
箕田 俊彦 様(国際ロータリー第2590地区ガバナー)
「世界へのプレゼントになろう」
とラビンドランRI会長は呼びかけました
1月18日(日)、サンディエゴで開幕した国際協議会で、K.R.ラビンドラン国際ロータリー会長(スリランカ、コロンボ・ロータリークラブ会員)が2015-16年度のテーマ「世界へのプレゼントになろう」を発表しました。
この日を「人生で最も大切なとき」と呼んだ会長エレクトは、次の様に述べました。
「ここにおられる皆さんは、多くを与えられた方々です。そして今、皆さんに最高のプレゼントが与えられようとしています。それは、授けられた才能と持ちうる力の限りを尽くして、"世界へのプレゼント"となることのできる1年です。このために皆さんに与えられた時間は1年です。この時間はあまりに短く、成すべきことはあまりに多くあります。次年度、信念、情熱、才能を捧げるだけでなく、皆さん自身を世界へのプレゼントとして捧げて下さい」
会長はさらに、「私たちは、ポリオのない未来をプレゼントすると世界の子供達に約束しました。私たちは闘いを続け、必ずや勝利します」と続け、ロータリーが世界にもたらすことの出来る影響の良い例がポリオ撲滅であると述べました。25年前にロータリーがポリオ撲滅の目標を掲げたとき、125カ国にポリオウィルスが常在し、毎日1,000人以上の子供がポリオによる麻痺障害の犠牲となっていましたが、現在残るポリオ常在国はアフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国のみ。2014年に報告されたポリオの症例数は僅か333件だけでした。
続けて、ロータリーのもう一つの課題である会員増強についても触れました。「私たちの組織を形づくった基本に立ち返る方法を模索しなければ成りません。それは、人生のあらゆる場面における高い倫理基準と、各クラブの人材の多様性を奨励する職業分類システムです」と述べ「これらはロータリーの成功に欠かすことができず、なおざりにすれば、自らを危険に陥れることになるでしょう」と訴えました。
ブランディングの取り組みもロータリーの発展にとって極めて重要であり、「世界の多くの地域で薄れつつあるロータリーのイメージを変える必要がある」と主張されました。
さらに、ロータリー財団への寄付を推進し、新会員を迎え入れ、現会員の積極的な参加を奨励することの重要性も強調する会長でした。「各課題に対する簡単な答えはありません。しかし何とかして答えを見つけなければなりません。それを見つけるのは、ほかでもない私たちです」と訴えました。
最後に会長は「今こそ真の変化を成し遂げるとき」と述べ、次のようにしめくくりました。「これからの1年は、永遠に持続する“記念碑”を築くために与えられた時間です。この記念碑は、御影石や大理石に彫られるものではなく、今後何世代にもわたって人びとの人生と心に刻まれるものです。この機会は二度と訪れるものではありません。今このときを逃がさずに生かそうではありませんか」

2015-16年度 国際ロータリー第2590地区
地 区 方 針
ロータリーの原点とその心を大切にしよう
ポール・ハリスはなぜロータリーを始めたのか?ポールは田舎から都会に出て弁護士として開業し、知人はいるものの友人ができず大変寂しい思いをしていました。この都会には同じ思いをしている人が大勢いるのではないかと、親しい友人の集まりとしてロータリークラブを設立しました。その後入会したアーサー・フレデリック・シェルドンは、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」を提唱、ロータリーの心ともいうべきこの言葉は現在ロータリーの公式標語として親しまれています。我々はこのロータリーの原点とロータリーの心をもう一度心に刻み直し、活動していこうではありませんか。
1. 教育研修を実施しましょう
ロータリーとは何かを知り、ロータリーを好きになるきっかけを与えられれば、退会防止につながり、更には増強の原動力となります。各クラブにおいては、会長はクラブ研修リーダーを任命してください。クラブ研修リーダーには、①年度のクラブ研修を充実し、年次目標の達成を支援すること ②他のクラブ指導者と協力し長期的な視野で会員の指導力開発を推進すること ③増強委員会と協力し、単に定款・細則やロータリー用語の解説に止まらない新会員の研修を企画、実施することが望まれます。
2. 地区での会合には参加しましょう
地区内の様々な会合(地区大会・IM等)には、クラブ全員で参加しましょう。他クラブロータリーアンとの交流は、ロータリアンとしての視野を広める大切な機会です。
3. 地域に密着したロータリー活動を行いましょう。
ロータリーの組織構造は地域に密着したものです。地域に密着したロータリー活動を通じて一人一人の才能・知識・能力・努力・献身・熱意等をプレゼントすることで、クラブが地域に根ざし、存在感を発揮し、イメージアップ、会員増強につながります。
4. 長期計画(戦略計画)を立てましょう
各クラブは5年先を見据えて長期計画を立て、夢を持って前進しましょう。
5. ロータリー財団活動に対するご理解とご寄付のお願い
各補助金を効果的に活用し、その意義を認識することは、寄付増進にもつながります。
目標 年次基金寄付 一人当たり 120USドル以上 恒久基金寄付   
ベネファクター各クラブ 2名以上
ポリオへの寄付 今年度一人 50USドル(3年間で30万USドル/地区)
6. ロータリー米山記念奨学事業へのご理解とご寄付のお願い
国際親善と世界平和に寄与したいとの願いから始まり、日本最大の民間国際奨学事業となったこの日本のロータリー独自の多地区合同活動をより発展させていきましょう。
目標 普通寄付 一人当たり5,000円以上
    特別寄付 一人当たり20,000円以上
         計 一人当たり25,000円以上
7. 会長賞に挑戦しましょう
本年度の会長賞は、クラブ活動の成果が測定しやすく、また、実施することでロータリーが強化され、より効果的な奉仕活動ができ、認知度と公共イメージの向上にもつながるよう各項目が設定されています。クラブの年度計画策定時に盛り込み、ぜひ挑戦してください。

世界のプレゼントとなるためにロータリーの原点とその心を大切にしよう
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 私は、本年度地区方針を「ロータリーの原点とその心を大切にしよう」としました。
現代のロータリアンが、ロータリーに関して見いだす価値や歓びは人によって様々です。
社会奉仕や国際奉仕の具体的活動に汗を流すことに歓びを感じる人、クラブの親族活動の中での自己研鑽に価値を見いだす人、それは様々です。決議23-34の例は、こうした考え方の相違が最も先鋭的な対立を生んだ例です。またポール・ハリスも「人の考え方は、その気質や育った環境、経験等の幾多の要因によって形成されるので、考え方が違うのは当たり前だ。だから独断的なロータリーの主張は無益だ」と云っています。この様な価値観の違いはありますが、ロータリーとして一つにまとまる、それは寛容の心「相手の善意を信じる心」だと思います。寛容の精神こそ、ロータリーが目指す「友愛の親睦」の堅い基板をなすものと考えます。
Object of Rotary(ロータリーの目的)を熟読吟味すると、ロータリーは発足以来100年間に、社会奉仕や国際奉仕の分野で多くの成果を挙げてきました。特に1985年以来取り組んできたポリオ撲滅の取り組みは、人類に対する大きな貢献です。しかし世の中を広く見渡すとロータリーと同じく善意に基づく慈善団体や奉仕団体は他にも多く活動しています。そのような団体の中にあって、ロータリーは多くの団体とは画然と異なる本質があります。それはロータリーの原点ともいうべきものであり、それが Object of Rotary(ロータリーの目的)の中に明確に示されています。
それは「意義ある事業の基礎として奉仕の理念を奨励し、これを育むことにある」と記述されています。ロータリーの唯一の目的は「有益な事業、職業の基礎に、奉仕の理想を据える」即ち「自分の職業の倫理性を高め、それを通じて広く世に貢献する」ということが、ロータリーの原点であり、その心であることを忘れることなく我々は大切に未来につないでいく義務を負っています。
 ロータリアンの皆様、本年度もロータリーの原点とその心を未来に手渡していけるよう努力しようではありませんか。
9月16日 「ロータリーの友」で知るロータリー
二神 典子 様(東京築地RC)
横浜あざみロータリークラブに伺うのは3回目ということですが、今日、私ととても縁の深い方々が多いことを知って、うれしく思っています。
今年度から、国際ロータリー(RI)の特別月間が変更になり、「雑誌月間」がなくなりました。毎月書いている「ロータリー、いま」というコラムで月間の変更をお知らせした時、「ロータリー地域雑誌の編集者としては、『雑誌月間』や『ロータリー理解推進月間』がなくなるのは少し寂しい気がしますし、心配でもあります。さまざまなロータリーに関する情報について、ロータリアンがあらためて意識する機会がなくなるのではという懸念からです」と書きましたら、多くの方から「同じ思いだ」「雑誌月間を残してほしい」というような声をいただきました。それで、委員会、理事会でご相談し、9月を「ロータリーの友月間」としました。
国際ロータリーでは、「基本的教育と識字率向上月間」です。こちらも大事な月間です。9月号では、国際ロータリーの資料から、「基本的教育と識字率向上」についての説明を掲載しました。
『ロータリーの友』に関しては、9月号に創刊当時のことについての座談会を掲載しました。大先輩たちの新しい雑誌に対する思いを知っていただきたいと思います。『ロータリーの友』は1953年1月に創刊しましたが、それ以来、毎月、その時、その時の最新のロータリー話題や情報を掲載してきましたが、創刊して60年以上が経過すると、それらの記事がロータリーの移り変わりを見ることのできる歴意的価値がある資料に変わります。ロータリーだけではなく、日本の移り変わりも知ることもできます。
8月号から新しいコーナーが2つスタートしました。1つは「パズル de ロータリー」。問題は一般的なもので、答えがロータリーに関係したものです。ロータリーのことをあまりご存じない新会員でもクイズを楽しんでいただくことができると思いますし、答えを確認することによって、ロータリーの知識が少し増えると思います。
もう1つは「World Roundup 世界のロータリーニュース」です。国際ロータリー(RI)で発行している『The Rotarian』からの転載で、世界各国のクラブがどのような活動をしているのかをコンパクトにまとめた記事です。
ところで皆さまにとって「面白い記事」とか「いい記事」というのは、どのような記事でしょうか。私は、一つの記事に関して賛否両論の反響があったり、そこから話が発展したりしていくような記事がいい記事だと思っていますし、そのような誌面づくりをしたいと考えています。
 ロータリーの世界はどんどん変化しています。6月に開催されたサンパウロ国際大会で特に印象に残ったのは、若い人たちの情熱とパワーです。テーマ別に開かれた分科会では、ローターアクターや20歳代のロータリアンがたくさん参加し、積極的に発言をしていました。スマートフォンで会場の様子を写真に撮り、その場でフェイスブックなどにアップしているロータリアンの姿もあたらこちらで目にしました。しかし、そこに日本のロータリアンがほとんどいなかったことを残念に思いました。
 ロータリーは確実に変わっています。それがいいのか悪いのか、判断は、人それぞれ違うと思いますが、どのようになっているのか、その状況を知ることは大切だと思います。知ってこそ、正しい判断ができ、また、皆さまが理想とされる活動をすることができるのだと思います。そのために、『ロータリーの友』をご活用いただければ幸いです。
8月19日 あざみ野の空と世界の航空宇宙は今
泉 耕二 様
今日、日本の航空旅客輸送量は、全国民が1年に1度は飛行機に乗る時代が来ています。即ち、国内線、国際線を含めて、約1.2億人が飛行機を使っています。また、世界の航空機産業は目まぐるしく変化を続けています。航空機産業の特質として社会、市場、技術が密接に連関しながら動いています。
世界の航空機産業、まず世界を飛んでいる旅客機の数について紹介します。約20000機が世界の空を飛び、その内約8000機が米国です。続いて、世界の航空宇宙産業の規模について、航空宇宙産業と云うと華やかで大きな産業という印象をお持ちになるでしょう。産業規模としては約60兆円です。この額は日本の2015年度の国の税収(約55兆円)、2014年度の日本の自動車産業(8社)の売上高(64兆円)とほぼ同じレベルです。航空機産業を牽引しているのは欧州と米国です。
航空先進国である米国の航空機産業は社会的な政変に影響を大きく受けています。最も印象的な数字が11.9と9.11です。11.9即ち1989年11月9日、ベルリンの壁崩壊で米ソの冷戦構造は終焉を迎えます。これを境に米国の航空機産業を牽引してきた米国の安全保障予算は大幅に削減されました。その結果、航空関連企業の雇用者、技術屋は大幅に削減されました。よって、その後の新規航空機の開発には米国は自力のみで推進することは難しくなり世界の国々に支援を求めました。最近では米国Boeing社の新鋭機B787の取組みでは、日本の開発・製造の分担比率は35%と米国Boeing社の分担と同じになっています。いわゆる、共同開発(out sourcing)が世界の動きの中心になっています。もうひとつの動きは2001年9月11日、米国の同時多発テロです。この9.11以降米国の空は大きく流れを変えました。航空旅客運航の安全性向上の為に米国内、特に空港施設におけるsecurity checkは益々厳しくなっています。その為に空港施設は慢性的な混雑に悩まされ、遅延やキャンセルという事態が日常化し、航空旅客輸送の利便性が大幅に低下しました。この公共旅客輸送に対抗するかのように、企業や個人がより小型のビジネスジェットを使うようになりました。およそ10年でその数18000機に及んでいます。このビジネスジェット機の利用で安全性・利便性は格段に上がり、ビジネス用途としては十分な社会的機能を満足させています。他方、安全保障領域では有人の軍用機に対して、無人機(Unmanned Aircraft System)の開発・実用化が着々と進められています。その流れのひとつが、日本でも話題になっている「ドローン」です。以上のような流の中、日本では車メーカであるホンダが「Hondajet」の開発・事業化、三菱重工が50年ぶりとなる国産旅客機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の開発と事業化を目指しています。世界の足・空は着実に変化を続けていますが、社会・市場・技術と密接に関連していることが判ります。
8月5日 地区拡大増強を考える
高岡 俊之 様(横浜本牧RC)
講演者プロフィール
          横浜市出身
  1986年   中央大学法学部政治学科卒。
  1996年   弁護士登録(第48期)
  1999年   横浜ベイサイド法律事務所開設
  2009年   横浜家庭裁判所家事調停員(小田原支部)
  2011年   横浜本牧ロータリークラブ入会(それ以前は,2780地区藤沢北ロータリークラブ)
  2012年   日弁連代議員・横浜弁護士会副会長
          RI2590地区会員増強委員会委員
  2014年   日弁連国際交流委員会委員・同法科大学院センター委員・同司法修習委員会委員
          横浜本牧ロータリークラブ幹事
  2015年   神奈川県指定管理者制度モニタリング会議副委員長
          RI2590地区会員拡大増強委員会副委員長
趣味 舞台俳優                 
2007年7月6日~8日  「萩家の三姉妹」          永井愛作
2013年4月26日~28日 「雪やこんこん」       井上ひさし作
2013年12月13日~15日 「安楽兵舎V・S・O・P」ジェームス三木作
2014年7月11日~13日 「シャッター通り商店街」    高橋正國作
2015年4月24日~26日 「闇に咲く花」        井上ひさし作
ジャズトランペット 

会員増強を考える
1 会員拡大増強の必要生
  ・ クラブの活性化
    新会員の加入によって,クラブは活気づきます。
    楽しくなります。寄付も増え,その分,より大きな奉仕活動ができます。また,これによって,クラブが活性化します。
  ・ よい連鎖のはじまり
    新会員の新たな環境から入会者を推薦してえます。
    よい連鎖が始まります。
  ・ 世界平和
    ロータリー財団・米山奨学金も増え,ロータリーの理想「世界平和」に貢献できます。
2 クラブの現状を評価・分析する
 ・  多様な意見を集めよう。
    会員全員にかかわっていただく(アンケート・ブレインストーミング)
    ガバナー・ガバナー補佐
    他クラブメンバー(メイクアップされたとき)
 ・  強みと改善点はなんでしょう。
 ・  ゲストの視点で見てみましょう
    例会にメイクアップしようとしたときに貴クラブの例会情報は簡単に探せますか。
    ゲストを歓迎する雰囲気はありますか。卓話は,興味深く,示唆に富み,楽しいでしょうか。
    例会は,マンネリ化していませんか。
 ・  変化を取り入れる
    多様な意見が集まっても実際に生かされなければ,クラブをより良くしようという意欲が薄れてしまします。
3 会員の多様性
 ・ メリット
   クラブの現在の会員構成に目を向けてみましょう。職業・年齢層はどうでしょう。
   地元地域の人口を適切に反映していますか?
   女性会員や若年会員をはじめ,様々な会員基盤を持つことは,様々なメリットがあります。
   ① 地域社会のニーズに多角的に取り組むことができます。
   ② 地域社会からの信頼と支援を得やすくなります。
   ③ 幅広いスキルや知識を終結できます。
   ④ 奉仕活動をより多く確保できます。
   ⑤ 将来リーダーとなる人材を多く確保できます。
 ・ 視点
   ① 40歳以下の会員はいますか。
     全世界で50歳~70歳の会員が全体の69%を占めています。
     あなたのクラブは若い人に門戸を開いていますか?
   ② 欠けている職業分類はなんでしょう。
     地域社会の職業と事業を適切に反映する努力をクラブが払うべきである(ロータリー章典)。
     また,各会員の職業スキルや専門分野を知り,それを生かせる委員会や奉仕活動に抜擢します。
     役割が与えられれば,会員は積極的になり,意義を感じるでしょう。
   ③ 多様な考え方が奨励されていますか。
4 入会の魅力をみんなで高める
 ・ 入会候補者のリスト
   職業分類をもとに入会候補者のリストを作りましょう。
   会員となるにふさわしい人は誰かを考え,リストを作ります。
   簡単なことですが,地元に思ったよりも多くの入会候補者がいることに気づくでしょう。
 ・ 検討
   リストを作ったら,候補者一人一人について,勤務先はどこか・例会時間はその人に都合がよいか,リーダーとしての資質を備えているか,クラブに多様性をもたらすかなど,クラブに適しているかどうかを検討しましょう。早期退会者を出さないために,欠かせない人選です。 
・ フォロー
   他クラブへの紹介
   ボランティア活動や親睦活動で関係を保ち続ける
・ 候補者へのアプローチ
   メッセージはシンプルに。最初からロータリーについて,すべて説明しようとせずに,まずは,例会や奉仕活動,あるいは,テーブルミーティングに参加してもらい,実際にロータリークラブを体験してもらうのが効果的。
相手の心情に訴えるには,個人的な体験談を交えるのが効果的。つまり,ロータリーが自分の人生や仕事にどのようなすばらしい影響を与えたかを伝えます。また,相手方の関心やニーズに応じて,入会によって何が得られるかを説明します。ロータリーによって何を求めるかは,人によって異なることを念頭に置きましょう。
 ・ 入会のメリットをどう伝えるか
  ①  ボランティア活動を通じて地域社会に貢献できます。
  ②  仕事上の人脈や生涯の友情を築くことができます。
  ③  イベントの企画・人前でのスピーチ・後進への指導など,仕事に役立つスキルを身につけられます。
  ④  家族と一緒にボランティア活動や親睦行事に参加したりできます。
 ・  若い会員の入会を促す10のアイディア
  ①  一定期間の会費免除・減額
  ②  衛生クラブ・Eクラブ
  ③  例会の食費の減額
  ④  親睦活動
  ⑤  複数の若い会員の同時入会
  ⑥  100%出席の困難さへの配慮
  ⑦  社会奉仕への興味
  ⑧  ベテラン会員の配転
  ⑨  創造的かつあたらしいアイディア重要視する
  ⑩  クラブに参加する多様な方法を提示する。
5 退会防止
・ 新会員教育
   ロータリーについて十分に説明を受けなかった新会員は,1~2年以内に退会する傾向があることが調査でわかっています。新会員を対象としたオリエンテーリングを行い,クラブの活動や仕組みなどを十分に説明して下さい。また,数名の会員に体験談を語ってもらい,現会員の生の声を聴いてもらってもよいでしょう。また,新会員歓迎会はとても大切です。
 ・ サイン
  ① 欠席がち
  ② 仕事上の問題
  ③ 健康上の問題
  ④ クラブ内の問題
・ 思い遣り
サインはあっても,なかなか相談してくれないことが少なくありません。サインを見つけたら素早くそれとなく察してさし上げましょう。そして,早期にフォローをしましょう。執行部だけでなく,会員みんなの問題です。
6 まとめ
• あなたは,例会が楽しみですか。
• あなたは,自分の職業の理解に努めていますか。
• あなたは,クラブを自慢できますか。
• あなたは,クラブまたその活動をご家族に理解していただいてますか。
• あなたは,親愛なるメンバーに何でも相談できますか。
• あなたは,誇りに思える地域活動をなさっていますか。
7月15日 ロータリー発生史
三間 悌司 様(川崎西RC)
ロータリー歴
1984.6.22 入会
2002~03 クラブ幹事
2004~05 クラブ会長
2006~07 地区副幹事
2007~08 地区職業奉仕委員会委員長
2008~09 第3グループガバナー補佐
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7月8日 江戸の寺子屋ー子供たちはどのようにして学んだのか
大野 粛英 様(横浜港北RC)
江戸の手習い・寺子屋教育
——庶民の子どもたちも、教育を受けていたー
 明治初期の近代化は、江戸時代に全国津々浦々にあった寺子屋教育により,庶民の識字率が高かったことが大きく貢献したのです。幕府や各藩も教育を推奨し、民間でも寺子屋教育が盛んに行われていたのです。室町時代に寺で庶民の子どもを教育し、上方では寺子屋、江戸では手習い所と呼ばれていました。そして、生徒たちを寺子、筆子と云いました。江戸時代には、武士の子どもは藩校で武術と学問を習い、庶民の子どもたちは寺子屋で読み書き算盤など学んだのです。寺子屋の師匠は、僧侶、神官、医師、村の役人、武士(浪人)、商家の隠居など知識のある人などが担当していました。
 寺子屋の師匠は、教え方が上手、字が上手、人柄が良いなど人気により収入が違い、大勢の子供を見るには逆さまに字を書く“倒書の技術”が必要でした。師匠が一人の寺子屋では、妻や年長の生徒が代教として手助けをしていました。
 寺子屋の月謝は、月に200文(5,000円位)が相場で、夏は畳銭、暮れには暖房用の炭銭を払う決まりでした。月謝は親の懐具合によって決まり、農村では農作物,果物、蕎麦などを月謝代わりにしました。寺子屋への入門は、5〜8歳が普通で入学時には親が自分の子供用に机、硯、墨、紙などを揃えました。そして、先輩の生徒に祝儀として筆、紙一帖、飴などを挨拶代わりに配りました。
 寺子屋の授業は、朝五つ時(午前八時)から、昼八つ時(午後二時)まで、いろは48文字から始まり、ひらがなの短文,漢文など毛筆による手習いから始まりました。
 そして、四文字熟語の読み、暗誦などに進み、習った字は3〜5日ごとに清書し師匠が手直しをして壁に貼り出しました。寺子屋の教科書は、“往来物”と呼ばれ、實語教(教訓書)、童子教(道徳の教科書)、庭訓往来や消息往来(手紙文)が基本でした。
 授業が進むにつれて、商人の子には商売往来(商人用語、心得、帳簿)、農家の子には農家往来や養蚕往来、漁師の子には船方往来、大工の子には番匠往来などを教えました。
 地理として、江戸往来、江戸方角往来、その地方の地元往来などを教材に使いました。
 授業が終わると、男の子は家業を手伝い、女の子は踊り、三味線、琴、茶の湯など稽古ごとを習いました。子ども達は、勉強に飽きてくると悪戯をしますが、お仕置きとして放課後の居残り、机の上に立たせる(棒満という)、固い紙でくるんだ扇子で叩く、片手に水の入った茶碗を持たせ片方の手に線香に火をつけても持たせて座らせました。しかし、江戸時代には、体罰を加えることはなかったようです。寺子屋の就学期間は、通常4〜6年で親がこの位で良いという時に終了し、男の子は家業の見習いや年季奉公の丁稚に出されました。寺子屋は、明治5年に明治政府による学制により義務教育の小学校に衣替えしたのです。
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