HD→HD+APD→在宅血液透析へ
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在宅血液透析への道
 2007年、T病院で腎不全と診断される。保存期治療を経て、2009年より病院付属の透析センターで血液透析にはいる。週3日4時間透析。腹膜透析ではなく血液透析を選択したわけだが、毎日毎日透析に追いかけられているようで、生活が落ち着かない。5年ぐらいそんな状態だったが、腹膜透析との併用でその煩わしさが解消されるかもしれないと考え、透析センターに腹膜透析との併用を希望表明。HDからPD併用に移るケースは滅多になく、色々懸念されたが、少しでも自由な時間を確保したいと、2014年からHD週2回・PD週5回の併用透析にはいる。除水はとれるし血液検査も良好。それならとHD週1.5回・PD週5.5回を経て、2016に年最終的な目標だったHD週1回・PD週6日に移行した。一応念願が叶い、活動的な生活に戻れた感じがしたが、一方、β2の抜けが悪く、アルブミンの値も低く、思っていたより併用を続けられない状況だ。それにPDでのお腹への透析液の貯留が重たく、体に負担がかかり、楽に動けない。そんなとき在宅血液透析の話を聞く。透析センターの看護師さんや技士さんから、研修などで見聞してきた在宅血液透析の色々を聞くことができた。だが、通院していたT病院透析センターでは、在宅血液透析を取り扱う予定はまったくなかった。そこで、在宅血液透析を指導、管理してくれるJクリニックの先生に相談、2016年11月よりそのクリニックへ通って訓練を受け、在宅血液透析に移行することになった。週3日の透析に通いながらの訓練だが、卒業はいつになるか、とりあえず、在宅血液透析に至る訓練を記録しておこう。
訓練初目(2016.11.2)
   転院して初めての外来血液透析日。駐車場、ロッカー、透析のやり方など教わり、とりあえず今までと同じ6時間透析にはいる。透析装置はまだ在宅(個人)用ではない。テレビは有料だが、WiFiを使えるのはうれしい。
 在宅血液透析を目指す患者として、在宅血液透析担当の看護師さんや技士さんを紹介される。今後の方針を話し合い、腹膜透析は止めて、週3回5時間の血液透析をしながら、自己穿刺やプライミングの訓練をすることになった。適格を調べる総合的な診察を、医療連携病院の慈恵医大第三病院で11月8日に受けることになった。透析後、心電図等の検査を実施。血液検査でカリウムが低いということで、カリウム吸着剤を2回から1回に減らすよう指示があった。3日分の薬の処方箋をもらって帰宅。今まで院内薬局だったので、新たに近くで調剤薬局を探す。いつも行ってるスーパーの中にある薬局が年中無休でやっているようなので、そこにする。ほとんどがジェネリックに代わった。
 腹膜透析は中止になるが、カテーテルを抜くのは在宅が確定して落ち着いた時期にすればいいと思っていた。ただ腹膜透析を止めるだけでいいと簡単に思っていたが、カテーテルを留置している間は必ず洗浄が必要だということで、毎日、注液・排液を1回やらなければならない。テルモの営業の方と話し合い、在庫の透析液はAPD用のシングルバ ックなので、なくなるまでマイホームピコを使用、その後はツインバックにして手動作で注排液を行うことにした。緊急時に有効になるので留置したままでもいいなと思っていたが、洗浄などという面倒な動作があるとは?!
訓練2日目(2016.11.4)
   個人用透析装置(ニプロNCV-10)が用意されていた。
 技士さんより取り扱いの説明が始まる。各部の名称、画面を操作しながらの液置換や自己診断、そして非常に複雑で簡単に頭に入らない回路のセッティング説明。プライミング、カプラの接続、除水設定まで一通り説明を受ける。今日は終了時間が気になったので、この段階で穿刺して透析を開始。受けた説明を思い浮かべながら透析を受けていたが、一向に理解がすすまない。まあ1回目だから仕方ないか。自宅学習用に操作マニュアルを持ち帰る。
 先日の血液検査、ABI検査などの結果が出ていて、 右ABIが0.72、左ABIが0.64と動脈の詰まりが指摘された。前のセンターでも検査結果で指摘されていたことだが、特に治療はしていなかった。「血管を広げる手術を受けてみないか」ということになり、手術をしてくれる病院を紹介してくれることになった。
 翌日、借りてきた操作マニュアルを読んで頭に入れようとしたが、個別の操作の説明が中心で、全体像がつかめないから、部分部分の意味が分からない。 ネットで個人用透析機器(色々なメーカーのもの)の構造や全体の流れなどを検索し、それぞれの装置の意味を調べた。透析液を作る(原液とRO水)、生理食塩液やヘパリンの役割、ダイアライザの構造、血流と透析液を逆に流すこと、など、脱血から返血までの全体の流れを知ることで、少しではあるが操作の手順を理解できた気がする。
 操作マニュアルなどは、教えたい人の視角でなく、教わりたい人の気持ちを反映したものになると分かりやすいかな。
訓練3日目(2016.11.7)準備、セッティングを始める
   技士さんにアシストしてもらいながらのセット訓練。モニターの「洗浄終了」を確認してからスタート。生食と鉗子を十字フックにかけておく。
 A液、B液原液タンクにノズルを差し込む。 モニターの「準備」→「準備開始」を押す。コンソールの自己診断と液置換(透析液の作成)にそれぞれ10分間かかる。その間に 回路セッティングを行う。
 ダイアライザーをフックにかける。V側回路のチャンバーをかける。長い回路を床に触れさせないよう注意。V側チャンバーには、返血につなぐラインと、ダイアライザーにつなぐライン、静脈圧ラインの3方向がある。ダイアライザーと静脈圧ラインはそのままつなげばいいが、返血につなぐラインは、途中で気泡検知器にさしこまなければならない。返血につなぐラインの先端を排液カップにさして、A側回路にうつる。こちらもチャンバーをまず取り付ける。V側と同じく、脱血につなぐラインと、ダイアライザーにつなぐライン、動脈圧ラインの3方向がある。ダイアライザーと動脈圧ラインはそのままつなぐ。脱血につなぐラインは、血液ポンプに通し、生食につなぐラインとのT字路を生食側気泡検知器にも通す。はめ込み方に工夫がいる。この先端をV側の排液コネクタにつなぐ。生食にラインを刺して回路のセッティングが終わる。
 モニターの「自動プラ」を押す。 自動プライミング準備画面で何回かタッチしたあと「プライミング画面へ」をおし、「血液ポンプ」をONにしてプライミング開始。「プライミングが終了しました」で排液用コネクタのクランプを閉める。
 「循環」を押し、血流ポンプが始動。回路やダイアライザーの空気を抜く。鉗子でたたいたり、手でたたいたり、精密機器とは思えないかたちでエアー抜きをする。 そのうち再度「プライミングが終了しました」が表示されるので、「消音」をおし血流ポンプが止まることを確認。
 ダイアライザにカプラを接続。モニターで 「バイパス」→「ガスパージ」をおし、透析液のエアーを抜く。最後に除水設定をしたところで、今日の訓練は終わり透析にはいる。この複雑なセッティングをあさっては再現できるだろうか。
検査日を決める(2016.11.8)
   予約をしていたJ医大病院に行く。実際検査を行うのかと思ったが、検査日を予約して終了。検査項目は、副甲状腺超音波・上下腹部CT(11月29日)、心エコー・頭部CT(12月6日)。最後は、12月13日に結果を聞きに行くことになっている。3週連続で火曜日がつぶれる。くるしいな〜。
訓練4日目(2016.11.9)
   今日は自分でセットを始めるてみる。技士さんが後にいて注意、アドバイスしてくれる。全体の流れを把握するよう努力していたので、回路のセッティングなどは何とかうまくいったと思う。モニターでのパネルタッチに戸惑うことが多かった。何のためにやる動作なのか、しっかり覚えて早く一人でできるよう頑張ろう。
 5時間透析の終わりに近づいたとき、血圧が100を割り込んだ。T病院透析センターでは100を割り込んだときは、冷や汗、吐き気などがおこり、看護師さんなどを慌てさせていたが、今日は特に何もおきなかった。なぜかな?
 一人で着脱できる駆血帯をもらう。
 在宅透析をする部屋を確認するため、技士さん、看護師さん、メーカーの人などが家に見に来る日を11月28日の透析終了後に予定した。水道工事業者はクリニックにお願いするが、電気工事は私の知り合いに頼もう。
訓練5日目(2016.11.11)
   とにかく一人でセッティングしてみようと意気込んだが、途中で技士さんに確認したり、技士さんからアドバイスを受けたり、まだまだきちんと理解できてないなと思い知った。やはりモニターの操作もスムースにいかなかった。もっとしっかり覚えなければ。まだ穿刺の前までの段階で、これから覚えることは沢山残っている。覚えてきたことをを思い出して、時系列で、工程別に整理しておこう。整理しながら、ホームページにアップし、在宅血液透析を考えている人の参考にしてもらえればと思う。→http://home.r03.itscom.net/seta-net/manual
 透析の途中で、糖尿病外来の先生が来る。糖尿病に関して質問された。以前糖尿病の治療は受けていたが、腎不全になってからは血糖値は正常になった。今も薬も服用せず、血糖値も高くない。糖尿病性腎不全と診断されてはいるが、糖尿病の症状は出ていない。その辺りを確認するためだったのか?
 針をぬくときの止血バンドをもらう。使い方の概要を教わる。
 リンの調整、タンパク質の摂取、水分や塩分の調整など、栄養士さんにチェックしてもらうことになり、今日から3日間の食事記録を提出するよう指示された。
訓練6日目(2016.11.14)
   整理したマニュアルを参照しながらセッティングをやってみる。全体的にはうまくいったと思う。技士さんからは具体的なアドバイスももらう。テクニックも大事なことだ。穿刺や返血の訓練はいつから始められるかな?
 栄養士さんがベッドまで来てくれて、記録してきた3日間の食事日誌を見ながら栄養指導をしてくれた。前のセンターではこんな対応はなかったのでビックリ。聞き取りをしながら、その場で色々計算してくれて、今後注意すべき点を指摘された。塩分がどうしても多くなってしまうので、塩分を上手に減らす方法など教わった。
 HA、PD併用だったときは、お腹に透析液を2リットルもためて憂鬱な気分だったが、血液透析のみに戻って2週間、体が軽くなった気分だ。在宅血液透析に一歩ずつ近づいている感じも手伝ってか、前向きに考えられるようになった。部屋の模様替えなど、イメージをふくらませている。
訓練7日目(2016.11.16)
   透析装置が細菌検査のため1週間使用できないという。透析液の装填、回路のセッティング、プライミングまでの練習をして、一般のベッドで透析を受ける。
 血液検査でカリウムが低すぎるということで、カリウム吸着剤の服用が中止になる。
訓練8日目(2016.11.18)
   今日もプライミングまでの練習をして、一般のベッドで透析を受ける。 
 在宅血液透析をしている方が、自己穿刺するところを見学させてくれた。簡単にやっているように見えたが、かなり神経をつかう場面で、いざ自分でやるとなるとどうかなと不安になる。
 帰宅してから、PTA手術の予約をとる。前回4月に施術してもらったHクリニックだが、11月22日(火)午後2時30分の予約が取れた。
訓練9日目(2016.11.21)
    今日もプライミングまでの練習をして、一般のベッドで透析を受ける。 穿刺までの段階はかなりスムースにいっていると思うが、あさって、実際の機械で、一人で間違えずにできるよう頑張りたい。
 明日はPTA手術に行く日だ。もう何回もやっているのであの痛さはよく分かっている。先延ばししたいところだが、施術の先生は、患者の血管の構造を図にしてくれて、穿刺しやすい場所が一目で分かり、自己穿刺には大いに役立つというので、ちょっと楽しみでもある。Jクリニックの先生からの紹介状を預かる。
PTA手術をうける(2016.11.22)
   腕に麻酔をかけることになるので、車で行くのは止めてタクシーにした。
 エコーで血管の状態を確認。血流の音も聞いた。どれが狭窄音か分からなかった。 そのあとモニターを見ながら説明を受けた。やはり狭窄の部分をPTA手術することになった。
 手術台に乗ると、何回もやっている割に緊張する。 左腕を丁寧に消毒し、バルーンの入口と狭窄部分を麻酔注射。バルーンが血管の中を動いているのが感じられる。狭窄部分をバルーンで広げるときは、麻酔がかかっているのにやはり痛い。手術が終わっても、血管が腫れているのかしばらく痛みが残った。血流量は飛躍的に増えたようだ。在宅にむけてひとつ懸念を払拭した。3ヶ月後に検診ということで、2月24日(金)に予約をいれて帰宅。
 久し振りに左手の指先が冷たくなった。狭窄があるときは、指先に行く血液が確保されるが、狭窄がなくなってシャントの方に血流をとられると、指先に行く血流が少なくなるようだ。
訓練10日目(2016.11.23)
    在宅用の機械が使えるようになっていた。穿刺直前までのセッティングを無事終えたかと思ったが、ヘパリンシリンジにつないだラインのクランプを閉じていないことを注意された。
 自己穿刺の段階の訓練に移る。穿刺練習のための血管の浮き出た腕の模型が用意されていた。穿刺針の構造、血管にうまく入ったときのシグナル、鉄針を抜く、ラインにつなぐ、など実際に模型の腕に穿刺した上で説明を受けた。鉗子で止血し、右手だけでラインにつなぐ手技が難しかった。その後、返血、排液などの概要も教えてくれた。帰りに、模型の腕と穿刺針を預かり、家で練習してくるよう言われた。あさってから実際に自己穿刺することになっている。
 透析中に静脈圧の異常を知らせる警報音、警報灯が作動。針先の血液凝固の疑いもあると、A側ラインをはずし、5mlシリンジをつないで血液を吸い、次に生食のはいった10mlシリンジで押し引きしながら洗浄したり、実際にやらせてくれた。トラブル対策の一つを教わった。在宅でやる場合は、トラブルには落ち着いて対処するのが特に大事だと思った。
訓練11日目(2016.11.25) 自己穿刺を始める
    透析装置の準備を終え、いよいよ自己穿刺になる。昨日から「今日は自己穿刺をするんだ」と決めていたので、迷わず自分で穿刺しますと宣言。穿刺針を右手で持って、V側の皮膚の上に構えたときは、一瞬、ここが正念場だと気持ちを引き締めた。皮膚に刺してみると、痛みはなかったが、血管の反発を手元に感じた。2段階の目印で血管に入ったことが分かると教えられていたので、鉄針がはいったこと、プラスティックの先端もはいったこと、が確認できて安心した。鉄針をかなり引き戻してプラスティックの針先を奥に押し込もうとしたとき、一瞬血液が消えてしまった。プラスティックの針先が折れ曲がった感じがした。すかさず看護師さんが手を貸してくれ、鉄針を押したり引いたりしながら、プラスティックの針先を血管内に留置してくれた。針先を血管内に押し込むとき、鉄針を深く引き戻しすぎたようだ。A側の穿刺のときは、その点を慎重におこない、無事鉄針を抜き取り、鉗子でクランプするところまでうまくいった。時間のこともあったので、回路への接続、透析開始は技士さんに説明を受けながらやってもらった。
 透析が終わり、返血も終了。抜針の段階から自分でやってみる。穿刺針と回路を固定していたテープをはがし、折りたたんだガーゼをはさんで止血ベルトで出血しないように押さえ、針先をゆっくり引き抜く。針先は切り離し、回路の先端を排液コネクタに接続。V側から始めA側も同じように排液コネクタに接続し、ループさせる。
 その後は、技士さんが洗浄までの工程を、操作しながら丁寧に説明してくれた。
 在宅血液透析移行の最大の関門と思っていた自己穿刺、これから何回もやっていく中で壁を感じるときもあろうが、ひとまず切り抜けられ、ホッとしている。『案ずるより産むが易し』
訓練12日目(2016.11.28)
    透析装置の準備を終え、2回目の自己穿刺。V側の穿刺はうまくいった。ラインに片手でつなぐこともうまくいった。
  A側の穿刺で、プラスティックの針先が血管内にはいったことを確認して、ちょっと持ちあげて奥に差し込んだ。抵抗感を感じたが痛くはなかった。だが鉄針を抜いたところ血液が出てこなくなった。引いたり押したりしたが直らない。技士さんがエコー装置を使って状態を見てくれた。どうも針先が血管の内膜にからまれているようだった。技士さんがエコーを見ながらはずしてくれて、A側の穿刺を終えた。だが、時間がかかったのか、V側の針先で血液が固まったようなので、シリンジを使って洗浄。やっと透析開始。
 だが、開始後まもなく、静脈圧が高くなり、ピローもへこんだりしていた。A側の針先をいろいろ向きをかえてみたが、静脈圧は高いままだった。たぶん右手だけでやった洗浄が完全にできていなかったようだ。技士さんが素早く手伝ってくれて洗浄をやり直すと、静脈圧も正常に戻り、透析を続行することができた。
 片手でシリンジを押したり引いたりすることが難しく、時間をかけ過ぎたことが一因。ここはしっかり手技練習する必要がある。
 透析終了後、返血、抜針、回路抜液、排液、 装置の洗浄まで、指示を受けながら、実際にやってみた。
 時間がかかり、センターの皆さんには迷惑をかけたことと思うが、トラブルへの対処方法は、在宅の状況を考え、しっかり身につけていかなければいけない。今のうちに色々なトラブルを体験しておければいいな。
 透析から帰宅後、メーカーの人と、看護師さん、技士さんが在宅透析を行う部屋を下見に来た。搬入経路、水道の位置、配電盤の確認、配管などを打ち合わせる。頭の中で考えていたイメージが現実になりそうだ。
 だが、透析装置の手配に2ヶ月はかかると言われ、ちょっとがっかり。もっと早めに在宅血液透析に移行しようと訓練に意気込んでいたのに。ま、時間をかけ、確信をもって在宅に移行できるようじっくり訓練にはげむことにする。腹膜透析用のカテーテルの抜去も、在宅訓練期間中にやってしまおう。
J病院で検査(2016.11.29)
   J病院へ行く。レントゲン撮影、副甲状腺超音波、上下腹部CTの三つの検査を受ける。
訓練13日目(2016.11.30)
   準備を終え、穿刺にはいる。今日もV側の穿刺はうまくいく。A側の穿刺でうまくいかず、時間をかけた上どうも斜めから刺してしまったみたいで、透析を開始してからすぐに静脈圧が高くなった。技士さんがV側の針先の洗浄をしてみてくれた。直後は正常に戻ったみたいだったが、少しして静脈圧がどんどん上昇。A側の脱血不良が疑われ、穿刺をやり直すことになった。針先の洗浄に使うシリンジを素早く右手だけでやることが難しかったので、技士さんに穿刺のし直しから全てお願いした。まだまだ一人でトラブルに対処することは無理のようで、時間をかけ、繰り返し練習して習熟しなければ。基本的には、穿刺をしっかりやることが大前提だ。返血以降の操作はうまくいった。
 ドクターが来て、腹膜透析のカテーテル抜去について、専門の医師に確認してくれるという。日帰りができるならいいが、入院しなければいけないようなら、近くのT病院がいいかな。
 透析終了後、レントゲンと骨密度の検査を受けた。右手だけで骨密度を測定する装置は初めてだった。
訓練14日目(2016.12.2)
   透析装置の準備はほぼ順調にいっている。
  穿刺は、V側でもたついたので、技士さんに針先洗浄をしてもらった。まだポンピングが片手でスムースにできないから、ここは技士さんにお任せした。透析は順調に始まったが、しばらくして静脈圧が上がってきた。最初の洗浄が完璧でなかったようで、技士さんが手早く洗浄してくれて透析が続けられた。ポンピングの練習のため、5mlと10mlのシリンジを用意してくれ、チューブと接続して先端が詰まっている状態を再現し、片手でシリンジを引く練習をする。シリンジを押すのはたやすいが、引き込む手技は難しい。家に持って帰って練習することにする。透析中の血圧測定はすべて自分でやった。100を切ることもあったが、気分は良好。
 途中で、ドクターが来て、30日の検査の結果、心胸比は41%で横ばい、骨密度は107%/同年齢、99%/若年成人で良好な旨伝えられた。その時、腹膜のカテーテル抜去は日帰りでできるひらくクリニックにする、足の動脈閉塞を専門医がいる東邦大橋病院で検査してもらう、ヘパリンの使用に関して眼底出血を治療してくれた玉川病院の眼科に確認する、などの指示を受ける。細かいこともきちんと説明してくれるので納得できる。
 汳血以降の 操作も自分でやった。まだマニュアルで確認しながらの作業だが、徐々に慣れてきた感じだ。
訓練15日目(2016.12.5)
   一昨日、昨日と一泊で田舎へ往復。計10時間の高速道の運転で疲れが溜まっていたのか、装置の準備段階でまごまごすることが多かった。
 V側の穿刺では、なかなか奥まで押し込めない状態で四苦八苦していたが、技士さんのアドバイスでなんとかことなきを得た。血管を押しつぶして穿刺すると、どうしても針先が深くなってしい血管を貫いてしまうことがあるらしい。時間がかかったので針先洗浄をした。シリンジは、5mlと10mlの2種類使うわけだが、右手だけでポンピングするには10mlを2本使う方がいいことが分かった。
 透析を開始してしばらくすると、静脈圧の警報が鳴った。V側の針先の洗浄がしっかりできていなかったようだ。やはり穿刺をスムースに行えるようにすることが大事だとわかった。針先を洗浄して再開。
 血圧を30分おきぐらいに測ったが、やや低めに推移した。特段気持ちが悪くなることはなかったが、終わりに近づいた時、急に75ぐらいまで落ちてきて、さすがに慌てたが、返血動作に移って落ち着いた。
 検査の予定が入った。動脈硬化の検査が12月16日(金)、腹部エコーが12月21日(水)の、それぞれ透析後。
J病院で検査(2016.12.6)
   J病院で、CAVI検査、心エコー検査、頭部CT検査を受ける。予約時間通りで、スムースに帰ってこられた。
 T病院にバネ指治療の予約を入れる。整形外科の指専門外来に8日(木)9:00がとれた。眼科は予約ができないとのことで、同じ日に直接受診することにした。
訓練16日目(2016.12.7)
   セッティングはうまくいったが、穿刺で躓いた。V側穿刺で針先をうまく押し込めず、針先洗浄をしてもだめだった。位置を変えて穿刺をやり直し、念のため針先洗浄もして透析を開始した。しばらくして静脈圧の警報が鳴り、針先の位置を変えたり引いたりしたが回復しなかった。結局、3回目の穿刺やり直しは技士さんが手早くやってくれた。血管に針を刺すことに躊躇することはないが、血管の真上をイメージし血管の方向に針を進めることが難しい。肌の上から血管が透けて見えればいいのにと…。その後無事透析は終了したが、次の人の時間が迫っていたので回路の片付け以降は技士さんにお願いした。
 ドクターの回診で、先日の血液検査を見ながら、フェリチンが高いので鉄分の多い食品を避ける、ホスブロックとカルタンの服薬量を減らすよう指示があった。炎症反応がちょっと高いということで、体の痛いところを色々質問された。
 明日整形と眼科にかかることに関し、 専門医の意見を聞きたいとそれぞれの先生宛に手紙を渡された。
 明日は、久し振りにT病院へ行く。慌ただしく転院をしたため、永年のお礼も伝えられないままだったので、田舎のお土産を持って在宅訓練の様子を報告 してこよう。
T病院でバネ指手術(2016.12.8)
   9:00、T病院整形外科で右母指バネ指をみてもらう。4ヶ月前にステロイド注射をして落ち着いていたのが、今はかなりひどくなっている。腱鞘の状況と、ガングリオンができていることから、手術で腱鞘切開及びガングリオン摘出をすることになった。今日でも手術はできるということだったので、やってもらうことにした。午後1時に着替えをして手術室へ。右手の手術で、シャントは左手なので、抗生物質の点滴は右足首に穿刺、血圧計は左足大腿部に巻いた。こんな大げさな手術かと驚いたが、手術自体は15分ぐらいで終わった。1週間後に抜糸とのこと。明日の穿刺はできるかな?
 手術の前には眼科にもみてもらった。視力検査をして、瞳孔を開いて眼底出血のその後を確認してもらう。レーザー治療がしっかり行われており、透析時の血液抗凝固剤がダルテパリンである必要はないとのこと。
 検査で慌ただしい中、7年間お世話になった透析センターにも顔を出せた。看護師長は不在だったが、ドクターや数人の看護師さん、技士さんと会い、お礼を言うことができた。また、このホームページを見てもらうため、アドレスを記載した名刺を数枚置いてきた。この記録が、私の報告になり、また看護師さんや技士さんのお役に立てばと思う。
訓練17日目(2016.12.9)
   バネ指の包帯をしたままなので自己穿刺は無理だった。今日はすべて技士さんにお任せした。簡単な手術のようだったが、傷口と親指の関節に痛みが走る。帰りがけに看護師さんに包帯をはずして傷口の状態を見てもらい、きれいに縫えているようだったのでバンドエイドを貼ってもらう。抜糸まで濡らしてはいけないと言われた。12日から自己穿刺はできるかな。
 ドクターに昨日の手術と眼科の検診の結果を報告する。定期処方箋をもらい、服薬の変更の説明を受ける。
訓練18日目(2016.12.12)
   バネ指手術の親指は少し腫れていて、強く握ったり、重たいものを持とうとするとまだ痛い。技士さんと相談して、穿刺は自分でするが、 そのあとの針先洗浄、回路接続、透析開始は、技士さんにやってもらうことにした。穿刺がうまくできない内は、洗浄や回路接続は技士さんにお願いし、まず穿刺をしっかり会得することに集中しよう。
 今日もV側穿刺を失敗した。エコーで見ると、壁側に針先がくっついていて、なかなか粘膜のようなものが離れない。技士さんが色々角度を変えたり引いたりして、やっと血管の真ん中に入った。皮膚の上から血管のイメージをとらえられるようにならなくては。針先洗浄や回路接続は、家で練習することにし、鉗子を1本借りて帰る。
 聴診器がきた。自分ではじめてシャントの音を聞いた。スリル音はなかった。
J病院で検査結果を聞く(2016.12.13)
   J病院で先日検査した、副甲状腺超音波、上下腹部CTCAVI検査、心エコー検査、頭部CT検査などの結果を聞いた。副甲状腺に肥大が見られる。これはクリニックのドクターに判断してもらう。もう一つ異常が見つかった。硬膜下水腫があるから脳神経外科に判断を仰ぐよう言われた。近くのT病院の脳神経外科にCD付の紹介状を預かった。あさってバネ指手術の抜糸に行くから、その時脳神経外科に寄ってこよう。
訓練19日目(2016.12.14)
   今日は、穿刺する血管のイメージをつかめるよう、エコーで確認してもらう。結果、今までの穿刺位置が若干右にずれていたようだ。おかげで穿刺はうまくいった。だが、透析途中から静脈圧が上がり、結局針先洗浄をしなければいけなかった。一連の操作もコツをつかめてきたようだ。
 眼科の診察の結果、抗凝固剤をダルテパリンからヘパリンにすることになった。
T病院脳神経外科の診察を受ける(2016.12.15)
   T病院病院に行く。J病院からの手紙とCDを提出した脳神経外科の見立ては、「脳に水は溜まっているが、小さくなることはないけれど、特に問題はない、放っておいても大丈夫」ということだった。脳に水が溜まっていると聞くと、誰しも大変な病気だと思ってしまうが、とにかく安心した。
 予約の整形外科では、バネ指手術の抜糸かと思っていたが、傷跡の確認だけで、抜糸は来週12月22日になった。痛みが残っているのでもう少し様子を見よう。
 腹膜透析用カテーテル抜去術について、脳神経外科のついでに外科の看護師さんに聞いてみた。T病院では4日位の入院だと言う。日帰りでできるというHクリニックのアフターケア等は大丈夫かな。何かあった場合を考えて近場のT病院で抜去手術を受けた方がいいような気になった。
訓練20日目(2016.12.16)
   今日はV側A側ともスムースに穿刺できた。透析の途中で静脈圧の変化もなかった。失敗しないと一日気分がいい。あとは針先洗浄がうまくできるよう練習しておこう。
 看護師さんから、腹膜カテーテル抜去について、Hクリニックに一度相談に行った方がいいと言われたので、 クリニックでは少し不安があると今の気持ちを伝えた。ドクターに相談してくれて、近場のT病院にお願いしようということになった。T病院はカテーテル留置の手術をしたところだし、今まで通っていた透析センターがある所なので、色々な意味で安心できる。早々に申し込んでみよう。
訓練21日目(2016.12.19)
   穿刺はうまくいった。途中で静脈圧が低くなったが、座っている姿勢から横になったり、肘を曲げて作業をしたりしたことが原因のようだ。穿刺がスムースだと、早めに透析が終わった感じがする。時々戸惑っていた「バイパス」という言葉の意味が飲み込めてきた。
 いままで疑問だった、ダイアライザーでの除水の仕組みについて、看護師さんや技士さんに丁寧に教えてもらった。
 1時間置きの血圧測定も全て自分でやり、警報音の消音、リスタートなども自分でやれた。だんだん在宅での動きに近づいてきた。
訓練22日目(2016.12.21)
   静脈圧が上昇し、透析途中で針先洗浄をしたが、おおよその流れとしてはうまくいった。これからはとにかく習熟することだ。
 ドクター回診あり。先日の血液検査の結果、アルブミンが低いので、タンパク質をしっかり摂って、運動をすることだといわれた。足が痛くて運動できないようなら、整形外科に診てもらうようにとも言われた。T病院紹介の医科歯科か、Jクリニック紹介のJ病院か。
 帰りに腹部エコーの検査を受けた。
T病院でバネ指抜糸(2016.12.22)
   バネ指の抜糸。糸を抜くだけでなく、硬くなった皮膚などを剥がす。明日いっぱい、水につけないように。半年ぐらいは違和感が残るそうだ。
 外科で腹膜透析用カテーテル抜去の申込をする。26日(月)午後3時〜診察を予約。抜去手術の日程を打ち合わせることになる。
訓練23日目(2016.12.23)
   V側穿刺で、奥まで押し込もうとしたとき、何か引っかかっている感じがした。針先が血管の内皮にからまっているようだ。方向を変えたり、抜き差ししてみる。ちょっと引いた瞬間、引っかかっていたものがプチッと外れたようで、そのまま抵抗なく奥まで差し込めた。いままでここで時間をかけ過ぎて針先を詰まらせていたのか、きょうはスムースに透析にはいれた。
 ドクター回診で、J病院の検査結果をみながら、動脈の閉塞治療を東邦大橋病院でするよう提案された。また、副甲状腺の軽い肥大は特に問題はないので、定期検査などで経過観察していくことになった。もっとも気になった話は、膵臓に小さな腫瘍があるので消化器外来でみてもらえという話だった。膵臓がんはなかなか発見しにくく、発見されたときは手遅れになるケースが多い癌だから、この段階で精密検査を受けておいた方がいいと。在宅に移行する前に、できるだけ悪いところを直しておこうとしてくれているようだ。
 帰りに、カテーテル抜去で受診するT病院外科宛の紹介状をもらう。
 透析から帰ると、右肩の関節部が痛み出し、右手が思うように動かせなくなった。前から違和感があったが、こんな痛みは初めてだ。筋肉痛ではなく、関節痛のようだ。尿酸値がずっと高かったから、痛風症状が右肩関節に出たのかな。
 横になっても痛みはひどく、寝返りが打てない。翌日になっても痛みは引かない。整形外科のお世話にならなければならないのか。
訓練24日目(2016.12.26)
   穿刺もうまくいき、スムースに透析に入れた。途中動脈圧が低くなったが、固定テープをずらしたりしたら正常に戻った。血管を圧迫するようなテープ固定をしないようにしなければ。右肩関節が痛いので、血圧測定や、画面タッチなどは、技士さんにやってもらう。
 帰りに、食事もとらずT病院へ。予約時間より遅れたが、すぐ診てくれた。カテーテル抜去の手術方法や、合併症などの説明を受け、手術の日程を打ち合わせた。2泊3日の入院になりそうなので、1月30日(月)〜2月1日(水)にすることにした。30日と1日の透析は、T病院透析センターにお世話になる。麻酔科の先生とも面談し、いくつかの検査を受けて帰宅。
訓練25日目(2016.12.28)
   穿刺に引き続き針先洗浄もうまくいった。と、思っていたが、透析を始めると静脈圧が上昇を始め、警報音が鳴った。今度は技士さんに針先洗浄をやってもらった。さすが、その後の透析は順調にいった。
 針先が詰まっている感覚がわからず、恐る恐のるポンピングだったかな。技士さんのは、自信を持って、しっかりポンピングしていたようだ。もう少し経験を積まなければ。
訓練26日目(2016.12.30)
   何か集中できなくて、ミスが続いた。まだマニュアルに頼ろうとする気持ちがある。しっかり頭にたたき込まなくては。
訓練27日目(2017.1.2)
   元旦に飲み過ぎて少し二日酔い状態だったので、穿刺と針先洗浄だけは技士さんにお願いした。帰りの運転中、吐き気に悩まされた。
訓練28日目(2017.1.4)
   3日に家族全員(12名)が集まり新年会。たっぷり飲んだので、今日も穿刺と針先洗浄は技士さんにお願いした。
 2回続けて技士さんに穿刺をしてもらい、自分の穿刺との比較ができた。手早く処置しながらも血管のイメージが頭の中にあるようだ。
訓練29日目(2017.1.6)
   気持ちを入れ替え、マニュアルで確認もせず、準備からセッティング、プライミング、ガスパージを終え、穿刺、針先洗浄も自分でやり、透析中の血圧測定、返血、抜針、抜液、排液、洗浄と、一通りをスムースにこなせた。手順の意味が少し分かりかけてきたようだ。
 透析中は、静脈圧の動きに気をもんだ。手を動かすと上がったり下がったり。これが安定して推移すれば言うことなしかな。
訓練30日目(2017.1.9)
   穿刺の時少し針先を探ったせいか、透析途中で静脈圧が上昇し、針先洗浄をした。やはり肝心なのは穿刺がスムースにできることだ。針先を探って、血管の壁を傷付けたり、時間がかかったりして、血液の塊ができやすい状態を作ってはいけない。ここをクリアすることが今後の課題。
訓練31日目(2017.1.11)
   穿刺はうまくいった。針先洗浄もスムースに終わったが、徐々に静脈圧が上昇し、再度針先洗浄をした。その後は安定して推移した。
訓練32日目(2017.1.13)
   準備から片付けまで、スムースに終わった。針先洗浄で、3本のシリンジを使い、洗浄した後、3本目で生食を注入したままにするようにした。5時間の透析中、静脈圧の変化が気になって、モニターをいつも眺めていた。
訓練33日目(2017.1.16)
   穿刺、洗浄ともうまくいったと思ったが、また静脈圧が上昇した。再度洗浄を行い様子を見た。今度は、安定した静脈圧の数値が維持できたので、最後まで安心して透析を続けられた。
訓練34日目(2017.1.18)
   透析開始後すぐ静脈圧があがった。穿刺から回路接続の工程をスムースに行わなければ。
訓練35日目(2017.1.20)
   静脈圧がやや高めに推移していたので、気になって仕方なかったが、無事に透析を終えられた。
透析装置搬入に向けて部屋を片付ける(2017.1.21・22)
   透析装置を設置する場所を確保するため、部屋の模様替えを少しづつやってきていたが、今日でなんとか方向が定まった。透析をするところはできるだけ広く確保したくて、仕事のスペースはかなりきつくなった。装置が入ってみないと最終的には決まらないが、イメージはふくらんできた。
訓練36日目(2017.1.23)
   穿刺の順番をいろいろ試してきたが、今日、在宅を考えて一番合理的な順番を決めた。
 まず駆血して、V側を穿刺、テープで一か所固定、次にA側を穿刺、テープで一か所固定。駆血を解除し、A側から回路に接続。そしてV側を回路に接続したら、すぐに5mlのシリンジで血液を吸い込む。つぎに生食の入った10mlシリンジで数回ポンピングする。最後にV側を回路に繋いでクランプを開放しモーターON。透析開始。
 実際には、V側穿刺で針を押し込む方向で戸惑い、A側穿刺では、斜めに刺してしまったのか針先に痛みを感じた。技士さんがエコーのモニターで誘導してくれてなんとか留置できた。時間をかけたせいか、血液が出てこなかったので、シリンジで吸い込む手間をかけた。そのうえ、透析開始してしばらくして静脈圧が上昇し、再度洗浄をしなければならなかった。全体の作業、手技はマニュアルを見ないでできるようになったが、血管をしっかりイメージできるようにならなければ。
電気工事終わる(2017.1.24)
   単独ブレーカー2個と、アース付のコンセント2個の電気工事が終わった。1.5kwの機械が2台設置される実感がわいてきた。電気代がどれくらい増えるだろうか…。
訓練37日目(2017.1.25)
   穿刺で時間がかかり、今日も再洗浄。
 そろそろ透析装置設置になる頃かと思い、知り合いの電気屋さんに頼んで電気工事は終えてあるので、クリニック依頼の水道工事はどうなっているのか担当看護士さんに聞いてみた。装置を入手するのに2ヶ月はかかるといわれていたが、もう2ヶ月経ったのに何の進捗連絡がなかったので、催促のつもりもあった。
 結局、透析装置はまだ3週間ほどかかるようだ。水道工事店からも早急に連絡させるということだった。
 できるだけ早く在宅に移行したくて頑張って訓練しているのに、クリニックの都合だけで判断されているようだ。もっと患者の立場になって、わかりやすいマニュアルや合理的なスケジュールも作成してほしい。 そして何よりも患者とのコミュニケーションを大事にしてほしい。
訓練38日目(2017.1.27)
   V側穿刺で、斜めに刺したみたいで方向が分からなくなった。技士さんが何とか押し入れてくれた。A側ももたもたして時間をかけてしまう。結局V側から血液を吸えず、技士さんが別の所へ穿刺してくれた。在宅での穿刺失敗について、その対処法や心構えなど技士さんからよく説明を受けた。場合によっては、その日の透析を断念する勇気を持つことも大事のようだ。
部屋の模様替えほぼ終了(2017.1.29)
   透析装置設置のための部屋の模様替えがほぼ終わった。実際に装置を設置しないと分からないところがあるが、大物は予定の位置に落ち着いた。明日T病院に入院して、腹膜透析用カテーテル抜去の手術を受けるが、いよいよ在宅血液透析への移行が秒読みに入った感じがする。秒読みといってもまだ1ヶ月はかかりそうだが。
腹膜透析用カテーテル抜去手術(2017.1.30〜2.1)
   いよいよ腹膜透析用カテーテルを抜く日が来た。前日入院して血液透析をするので9時受付ということでT病院に行くと、透析は午後の部だったということで、病室で長く待たされた。昼食も配られなかったので聞くと、間違って今日から絶食指示が出ていたという。何ともお粗末な話。これでは慌てて朝早く来た意味がない。
 透析センターでは、7年以上もお世話になった懐かしいメンバーがいつものように仕事をしていた。 昔のように軽く冗談を言いながら入室した。人任せの穿刺は何とも楽なものだった。何人もの懐かしい看護士さん、技士さんが顔を見に来てくれ、在宅訓練の内容や、自己穿刺の苦労話をした。在宅に移行したら是非見学に来るよう約束した。
 翌日は9時から手術。 全身麻酔ですぐ眠りにつき、病室のベッドに移されるとき目が覚めた。お腹はちくちく痛かったが、思ったほどではなかった。これで完全に腹膜透析併用ともおさらばだ。朝、昼と食事抜きだったので、夕食が待ち遠しかった。ほとんど翌日の朝まで寝ていたが、眠りが浅く、長い夜になった。
 3日目は、朝食の後、9時に透析センターに入室。在宅訓練の話や冗談を言いながら、5時間、懐かしい雰囲気を味わった。 スタッフの皆さんありがとうございました。在宅を始めたら、是非見に来てください。
 手術や待たされたりしたが、久しぶりにのんびり羽を伸ばせた3日間だった。
訓練39日目(2017.2.3)
   1週間ぶりの訓練透析。手術跡の痛みはそれほどでもなかったので、通常通り準備を始めた。入院中に穿刺の順番を整理し、A側を左記に穿刺することにした。穿刺では、A側でつまづいたが、V側はスムースにいき、静脈圧も正常に推移した。こういう時は気分がいいものだ。
 在宅担当看護士さんが来て、在宅の時の透析液などの配送について説明を受けた。月に1回処方をもらい、かかりつけ薬局から無料で配送してもらうことになるようだ。クリニックに配送を頼むと5,000円かかるそうだ。なら薬局の方がいいと思うが、やってくれる薬局を自分で探さなければならない。区内の薬局リストのコピーを渡された。この中でどこが受けてくれるのか分からない。それぞれ直接聞いてみるしかない。在宅になると月に1回施設に通えばいいと思っていたが、処方箋をもらうためにわざわざもう1回通わなければならない。メーカーと直接取引してほしい。
  腹膜透析用の医療品は処方がメーカーに直接いき、患者と打ち合わせての無料配送だったのに、在宅血液透析は患者に負担を強いるところがあり、まだまだ普及のためのシステムも構築されていないようだ。
  在宅訓練を始めてから、後出しじゃんけんのように、「これを買ってください」「これを用意してください」「これを手配してください」などといわれると、最初から分かっていることなのに、在宅訓練を始める前にきちんと説明をしておくべきことだろうと思う。医療機関は在宅血液透析のすべてに責任を持ってくれない、後のことは患者本人がやるしかないのか。
 在宅血液透析はいいシステムだと思うので、もっと患者の立場に立って、患者の負担も少なく、在宅に移行したいと患者が思うようになるような環境作りを期待したい。
訓練40日目(2017.2.6)
   このところ、浮き出た血管をライトでヨコから照らし、影を作って立体的に見えるようにして穿刺している。穿刺位置の見当がわかりやすくなった。でも今日もA側でもたつき、V側でもつまづいた。結局透析を開始してからすぐ静脈圧が上昇。針先を引きながらの洗浄で正常に戻った。修正すれば透析が行える状態なら、初心者としては上出来、と思うことにした。在宅透析に入ったら、多分毎日毎日、穿刺との格闘が始まるんだと覚悟した。今日から透析日誌をつけることになった。
水道工事終わる(2017.2.7)
   水道配管工事が終わった。細い給水管と太い排水管が2本、むき出しで配管された。配水管は1mで1cmの勾配をとってあるそうだ。むき出しだけど仕事は丁寧にやってくれた。こんな大げさな工事が必要な透析装置が、実際に設置されたら重圧感があるだろうなと思った。透析センターでは見慣れているが、自宅では異様に感じるかな。後は透析装置の搬入と設置を待つばかりだ。
訓練41日目(2017.2.8)
   A側の穿刺で、押し込んだ針先に違和感を感じた。血液が出てこなかったので、針先を引きながらシリンジで吸い出してみた。5mm位引いたところで血液を吸い込めたので回路に繋ぐ。V側はスムースにできた。その後の静脈圧も安定していた。ライトで血管を立体的に確認する方法がよかったか。処方箋をもらって帰る。
訓練42日目(2017.2.10)
   今日は夕方から漢検の準会場運営が予定されていて、透析でもたもたしていて時間がかかると困るので、かなり集中して穿刺を始めた。穿刺はほぼうまくいき、透析を始めてから、静脈圧が下降し警報音が鳴ったので、A側の針先をちょっと引き、向きも多少動かすことによって、その後は順調に推移。予定通りの時間で片付けまで終えることができた。
 薬をもらいに行ったついでにいつも依頼している薬局に、透析液などの薬剤を配送できるか聞いたところ、配送はできない旨の返事があった。メーカーが対応してくれないということだった。ネットでいろいろ検索したが、自前で配送できそうな薬局は見つからなかった。腹膜のカテーテルもとれて身軽になったので、自分でクリニックに取りに行くことにしようか。
訓練43日目(2017.2.13)
   A側の穿刺、失敗、刺し直す。V側も失敗、刺し直しも失敗。技士さんが上腕に刺し直してくれた。穿刺ができないと在宅はできないね、といわれたが、返す言葉もなかった。なぜ何回も失敗したか考えてみた。血管の中まで針先が入ってなかったようなので、どんなふうに刺したかよく思い出してみた。どうも最初から斜めに針を刺していたことが原因かな。血管を貫かないように、また針先の方向を見失わないように斜めに刺すのがいいと思っていた。このやり方では、血管を押しつぶしたり、血管を逃がしたりするリスクが高かったのか。あさっては、真下に刺して、血管の中にしっかり入ったことを確認し、針を斜めに持ち上げ血管に沿って押し入れるようにしてみよう。
 穿刺が安定しないと在宅に移行できないことは分かっている。たまに失敗することは当然あるだろうが、今のような失敗の頻度では心許ない。
 透析の帰りに、T病院の外科へ。腹膜カテーテルの抜去手術後の検診。ドクターは「問題はない」と明言してくれた。腹膜併用は2年ちょっとと短かったが、週2回の血液透析に腹膜透析を併用できたなら、もっと長く併用療法を続けていられたかもしれないな。と頭をよぎった。
訓練44日目(2017.2.15)
   穿刺のイメージを変えて臨む。A側もV側もスムースにいき、静脈圧も正常に推移。穿刺の角度の問題だったか。
 途中でA側の気泡警報が鳴った。何もせずすぐリセットしたが問題なく透析に戻れた。初めての体験。
 技士さんから薬剤配送の薬局が見つかったか聞かれたので、どこもだめだったと伝えた。在宅をやっている人が丁度来ていたようで、薬局に頼めているか聞いてくれた。その人も何軒か断られたが、小さな薬局で引き受けてくれたとのこと。きっと個人的に引き受けてくれたのだろう。
 帰宅してから、有望な薬局6軒に配送依頼のファックスを入れたが、どこからも未だ返事はない。5,000円払って配送してもらうか、自分の車で2回に分けて取りに行くか、どちらかしかなさそうだ。
コンソール設置予定日の連絡あり(2017.2.16)
   担当看護士から、在宅血液透析を3月1日頃から始めるには、20日あたりにコンソールの設置を行うことになる、と連絡がある。やっと具体的なスケジュールが動き出したようだ。今月いっぱい穿刺の訓練に集中し、自信を持って在宅に移行できるよう頑張ろう。
訓練45日目(2017.2.17)
   前回から変えた方法で穿刺をおこなった。すべてスムースにいったが、透析開始からしばらくして静脈圧が下がり気味になった。ピローも膨らみが悪く、A側チャンバーで血液の逆流も見られた。初めての経験で、技士さんから、脱血不良が原因でおこるので、A側の穿刺針の状態を確認しようと言われた。針を固定するテープがやや斜めに引っ張っていた。まっすぐに戻し、シャントからの血管の上のテープは剥がした。脱血が不良になる原因はだいたい取り除いたつもりだ。その後若干の逆流をみたが、他は順調だった。
 20日にコンソール搬入設置工事を予定したが、午後1時から搬入開始したいので、当日の透析は、朝30分早く始め、4時間透析にしようと、技士さんから提案があった。施設透析での訓練もあと4回で卒業。新しい生活を想像してちょっと緊張気味。
訓練46日目(2017.2.20)
   早く行ったのに、V側穿刺で躓き、結局3時間30分しか透析時間を取れなかった。1時に帰宅したときは、もう搬入トラックは来ていた。150kgと90kgの機械がやっと運びこまれると、そこから6時間、組み立て、検査、配管などにかかった。しかもこれから1週間は機械を動かしっ放しにしなければならないようだ。
  思っていたより配管がごつく、結構スペースを取られそうだ。部屋の動線や配置を考え直さないといけない。
 立会に来た技士さんと、今後のことについて話し合った。薬剤は有料でクリニックの配送にまかせること。3月分は7日に搬入されることになった。月1回の施設透析の日程や時間、処方箋の受取日など、日にちは決められなかったが、どのような流れになっているか教えてもらった。在宅初日は3月1日とし、技士さん、看護士さんの立会が必要なので、朝10時に開始することになった。
 メーカーの技術者が帰ったのは夜9時過ぎ。RO水装置もコンソールも電源が入り、稼働しているようだ。 カシャ、ブーン、カチッなど結構音はうるさい。夜中に気にならなければいいが。でも音より電気代、水道代が気になる。
訓練47日目(2017.2.22)
   A側、V側とも、刺し直しにはならなかったが、なかなかうまくいかなかった。針を立てすぎたようだ。静脈圧は安定していて透析は順調に終わったが、今の穿刺レベルでは3月1日からの在宅に移行することは難しそうだ。あと2回の訓練で穿刺が大丈夫なことをアピールしなくては。
訓練48日目(2017.2.24)
   A側穿刺はうまくいった。前回V側の穿刺位置を上腕部にしようということだったので、初めて上腕部に穿刺した。穿刺はうまくいったが、腕の曲げ伸ばしで回路が圧迫されるのか、静脈圧が安定しなかった。技士さんから曲げの影響が少ない肘の外側に回路を固定するよう指導があり、その後の静脈圧は安定した。
 担当の看護士さんと技士さんがひそひそ話をしていた。3月1日からの在宅透析は無理ではないかなどと話す声が聞こえてきた。あとから技士さんより3月1日に在宅移行は厳しそうだ、と告げられた。それ以外は何も指示はなかった。どこがどう悪いからこうなるまで延期とか、具体的に説明できないものか。本人と話しもしないで決めてしまうやり方は納得できない。それに、まだ在宅血液透析の設計図が示されていない。透析回数も、週6日で一日2時間、夜8時〜10時と自分では考えているが、クリニックはどう考えているのか分からない。夜11時以降とか日曜日にはやらないでほしそうだが、クリニックが休みだからか。24時間のバックアップではなかったか。
 まだ在宅血液透析に関しては、医療機関側も試行錯誤で、実技指導も技士さん任せでマニュアルもない。具体的な訓練スケジュール提示もなく、在宅透析の生活設計に関する説明もない。結局やる気がある患者が自分で会得していかなければならない状態で、金銭負担のこともあり、在宅血液透析への道はかなり険しいというほかはない。
 27日のの透析が訓練の最後になるのか、いつまで延びるのか。何かもやもやしている。
訓練49日目(2017.2.27)
   穿刺の角度を元に戻してからはほぼ順調にいっている。片付けをしていると、担当看護士さんより訓練を延ばすと言い渡された。納得がいかない旨返答すると、技士さんたちとも協議して日程を決めると言う。
 まだ訓練を続けることにはさほど異存はないが、患者とのコミュニケーションをとろうとしない看護士に少々頭にきているだけだ。もっと患者の在宅への思いを聞いたり、在宅血液透析の生活設計などのアドバイスをする時間をもうけたり、患者との信頼関係を築くべきだ。
訓練50日目(2017.3.1)
   穿刺の前にエコーで血管の位置を確認してもらった。いろいろ言われていたが、触った感じの位置とほぼ同じだった。これで自信を持てたのか穿刺は順調。もっと早くエコーで確認してもらえばよかった。
 透析中に技士さんの責任者のような人が来て、いろいろ話を聞いてくれた。不満の表明に対応してくれたようだ。何でも質問してくれと言うが、先に基本的なことの説明がほしい。
 患者は透析しながら、技士さんは通常の仕事をしながら、そんな状態のなかで、「いつまでに何を教える」といったスケジュールもない。間際になって、また患者から質問を受けて初めて、説明や指示をする。在宅の教育環境はこんなものか。
 在宅開始日を3月17日にする旨知らされた。
訓練51日目(2017.3.3)
   穿刺は順調。ドクターから話が聞けた。在宅に関しては、中二日空きを作らない、HDP指標で75以上が望ましい。その範囲で自由に設定していいとのこと。夜11時以降も、日曜日も、緊急対応に時間がかかるかもしれないが、透析はOK。通院透析は、月1回なら、処方箋を受取に別に1日通院。月2回通院透析なら、2回目の通院で処方箋をもらえる。駐車場もロッカーも使用可。在宅のための資材、薬剤は、クリニックから有料(5,000/回)で月1回配送してもらう。これで在宅の設計図が描けそう。
訓練52日目(2017.3.6)
   穿刺は順調。技士さんより、介護者の訓練のため1回の来所を要請された。3月10日に決める。返血前に来て、緊急時の返血操作を教えるという。帰りに在宅で使う資材、薬剤を、それぞれ1ケース分を車の乗せ、家に持って帰る。月1回の配送分を考え、部屋の置き場所を決める。
訓練53日目(2017.3.8)
   穿刺は順調。妻が3月11日より20日まで不在になるので、3月17日の在宅初日には立ち会えないことを話すと、緊急時の訓練も兼ねるので在宅開始を延ばそうと言われた。結局3月22日に在宅初日を延ばすことになった。帰りに胸部のレントゲンを撮った。
訓練54日目(2017.3.10)
   穿刺は順調。レントゲン検査の結果は、心胸比39だったようだ。
  返血前に妻が到着。返血の操作訓練を受ける。昨日、自宅の透析装置を使って、緊急時の返血、抜針の仕方をレクチャーしておいたので、うまく操作できたようだ。この程度のことを在宅開始の間際にやらなくてもと思っていると、介護者にはもう1日来てほしいという。それならそうと最初から計画立ててよと不満を漏らす。結局、来週は妻が不在なので、3月22日にもう1回介護者の訓練をして、24日に在宅開始を延ばすことになった。イライラが募るばかり。いったい誰と話をすれば確実なのか。今日は68歳の誕生日、本来なら在宅で迎えていたのに。
訓練55日目(2017.3.13)
   穿刺は順調だったが、脱血不良で警報が。ポンピングしても血液が吸い出せない。結局刺し直して透析に入る。250は維持していたが、なんとなく血流が悪い感じがした。
 在宅で穿刺が何回も失敗して透析をあきらめる状態になったとき、コンソールを最後の洗浄に移行する方法を聞いてみた。施設透析しか経験のない技士さんではそういう場面に直面することはないせいか、明確な説明はなかった。想定内の緊急時対応以外は、その都度クリニックやメーカーに連絡しろということか。
訓練56日目(2017.3.15)
   穿刺は順調。静脈圧も安定。在宅に弾みがついた。
訓練57日目(2017.3.17)
   穿刺は順調。返血時、ヘパリンのクランプと生食ラインのクランプを間違って閉じてしまい、警報が鳴った。技士さんの指摘で分かったが、その後の処置は技士さんにまかせた。
 ドクターに、身体が重く感じるからドライウェイトを下げてほしいと要望し、ドライウェイトが72kgから71.5kgになった。腹膜透析併用中に上げてきたドライウェイトなのだが、在宅血液透析になれば、もう少し絞って、70kgあたりが丁度いいのかもしれない。
訓練58日目(2017.3.20)
   穿刺で、V側の針先がひっかかり、なかなか外せなかったので、技士さんの手を借りた。時間がかかったため、透析を開始した後、静脈圧上昇によりA側の針先洗浄をおこなった。
 24日の在宅初日は、メーカーのメカが9時に来て装置の設定をしてくれ、11時にクリニックの看護師さんと技士さんが来て、穿刺から返血、抜針までを見守るという。あさっては最後の在宅訓練と介護者訓練だ。有終の美が…。
訓練59日目(2017.3.22)訓練最終日
   A側、V側とも、穿刺で針先の引っかかりがなかなかとれなかった。時間がかかったため、両方とも針先の洗浄をして透析に入る。静脈圧は安定して推移し無事透析が終わった。訓練期間最後の実技だった。ホッとした反面、在宅での穿刺を思い若干緊張している。透析をする部屋の準備、レイアウトはほぼ完了しているが、実際に始めてみて、いろいろ手直しをしていこうと思っている。どんな生活スタイルになるか楽しみだ。
在宅血液透析の訓練を終えて

 在宅血液透析の訓練を終えることができてホッとしている。最初はもっと早く終えられると思っていたので、途中からイライラすることが多かった。在宅の普及に意欲を燃やしているドクターだと聞いていたので、期待感も高かったし早く会得できるよう頑張るつもりでいた。実際は思っていたことととかけ離れていた。5ヶ月近い訓練期間を経験して、何がおかしいのか、どこをどうしたらいいか、患者の立場から考えてみた。
《どういう訓練だったか》
1、施設透析をやりながらの訓練だった。
 基本的に週3日5時間透析に合わせての、装置の操作、回路の設定、穿刺、返血、片付けなどの実習訓練。1週間に3回しか穿刺訓練ができない。
1、指導を担当した看護士さんや技士さんも、忙しい施設透析の仕事をしながらの指導だった。
 操作に重点を置いた指導が中心で、仕組みや理論を説明する機会はなかった。訓練を受ける患者の生活や気持ちを聞き出そうとするような時間がとれない。
1、マニュアルは不完全で、理論を教わることもなかった。
 個々の操作を書いたマニュアルはあったが、全体の流れをとらえることはできなかった。また人によって言うことが違ったりする。結局自分でマニュアルを作ったし、仕組みや理論はネットで勉強した。
1、患者がやろうとしている在宅透析設計にアドバイスがなかった。
 患者個人の在宅に対する気持ちを聞いてくれることもなく、どんな在宅透析を計画したらいいかなどのアドバイスもなかった。
◎技術的なことは教えるが、学術的な裏付けは教えてくれない。時間をとれないのかもしれないが、患者は指示通りやっているだけでいいと考えているのか。やはり、患者が理論的にも理解して初めて、在宅透析の良さを甘受できるのではないだろうか。
《患者のための在宅血液透析の訓練》
1、在宅血液透析の専門部署を設ける。
 在宅透析の指導・管理する部門を独立させ、専門の看護士や技士を養成する。(在宅専門のクリニックができるとすばらしい)
1、在宅と同じ環境で訓練する。
 施設でも在宅と同じ環境を作り、 頻回短時間の透析をやりながら操作・穿刺訓練をする。
1、マニュアルを患者と一緒に整備する。
 患者の感じたことを反映した、患者のためのマニュアルを作成する。
1、実技以外に、理論学習の時間を設けるか、文書にする。
 在宅血液透析の医学的な裏付け、どんな在宅計画が有効か、気を付けることは何かなど、 理論整備をする。
◎確かに、操作や穿刺ができなければ在宅は無理だが、在宅を希望する患者は、QOLの向上を目指して様々な在宅生活を考えている。勝手に自由な在宅透析を夢見ているかもしれない。だから、個々の患者の生活状態や希望を聞き、どんな在宅透析を設計するのが一番いいかアドバイスする必要があると同時に、患者自身が在宅透析の理論を知っていることが良好な在宅透析を続けられる基本だと思う。患者が理解できるテキストが切に望まれる。

在宅血液透析HHDに移行しての記録は,下記にアクセスしてください。
http://home.r03.itscom.net/seta-net/zaitaku


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