==============================================================================
@
2002/02/10(18:59:49) [題]: 200LX(4MB)版 ⇒ 20MB 化への改造
------------------------------------------------------------------------------

【概要】
なるべく少ない手数で高容量化、リスク度、仕上がり度を鑑みて、200LX(4MB) 版の 2MB ドータ基板を使い、この基板に RAM を1個追加して
20MB 化をしてみることにします。


増設構成は以下のようにする。

容 量  :2+0+2+0=4MB ⇒ 2+8+2+8=20MB
カウント:127 0 127 0      127 511 127 511
バンク : 0  1  2  3        0  1   2  3

つまりマザー基板と 2MB ドータ基板上の 18160 or 互換品はそのままで、ドータ基板上の空きマスクランドに、RAM 13165 1個と AND ゲート1
個を乗せることで都合 20MB にする。
増設手法は、アドレス最上位ビット A11 をホーネットCPUの |RAS1(126Pin) 経由で AND ゲートに入れ、 |ras3 とのアンドを取ってその信号を
13165 の |RAS に入れる。

【接続図】

                    『【hp】2MBドータ基板 Pin 接続図 』
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━-━┓
┃                                    -┌─┐+                               ┃
┃                  【13165】          └─┘パスコン 【18160】Compatible       ┃
┃  ┌─ 1┌───┐VCC    VSS┌───┐50─┐    ┌────────┐ ┏━┓┃
┃  │    └───┘vcc    vss└───┘    │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │   2┌───┐D00    D15┌───┐49  │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │    └───┘d00    d15└───┘    │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │   3┌───┐D01    D14┌───┐48  │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │    └───┘d01    d14└───┘    │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │   4┌───┐D02    D13┌───┐47  │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │    └───┘d02    d13└───┘    │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │   5┌───┐D03    D12┌───┐46  │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │    └───┘d03    d12└───┘    │    │                │ ┃36┃┃
┃  │   6┌───┐VCC    VSS┌───┐45  │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │    └───┘vcc    vss└───┘    │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │   7┌───┐D04    D11┌───┐44  │    │                │ ┃ピ┃┃
┃  │    └───┘d04    d11└───┘    │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │   8┌───┐D05    D10┌───┐43  │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │    └───┘d05    d10└───┘    │    │                │ ┃ン┃┃
┃  │   9┌───┐D06    D09┌───┐42  │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │    └───┘d06    d09└───┘    │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │  10┌───┐D07    D08┌───┐41  │    │                │ ┃コ┃┃
┃  │    └───┘d07    d08└───┘    │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │  11┌───┐NC      NC┌───┐40  │    │                │ ┃  ┃┃
┃  │    └───┘nc      nc└───┘    │    │                │ ┃ネ┃┃
┃  │                                      │    │                │ ┃  ┃┃
┃  └─12  ------  VCC    VSS  ------  39─┘    │                │ ┃  ┃┃
┃                                                │                │ ┃ク┃┃
┃    ┌13  ------  |WE  |LCAS  ------  38┐      │                │ ┃  ┃┃
┃    │                                  │      │                │ ┃  ┃┃
┃┌─┼14  ------  |RAS |UCAS  ------  37┼┐    │                │ ┃タ┃┃
┃│  │                                  ││    │                │ ┃  ┃┃
┃│  │15┌───┐NC     |OE┌───┐36┼┼┐  │                │ ┃  ┃┃
┃│  │  └───┘nc      nc└───┘  │││  │                │ ┃  ┃┃
┃│  │16┌───┐NC      NC┏━━━┓35│││  │                │ ┃  ┃┃
┃│  │  └───┘nc   |lcas┗━━━┻─┘││  │                │ ┃  ┃┃
┃│  │17┏━━━┓NC      NC┏━━━┓34  ││  │                │ ┃  ┃┃
┃│  └─┻━━━┛|we  |ucas┗━━━┻──┘│  │                │ ┃  ┃┃
┃│    18┏━━━┓NC      NC┏━━━┓33    │  │                │ ┃  ┃┃
┃│┌──┻━━━┛|ras3  |oe┗━━━┻───┘  │                │ ┃  ┃┃
┃││┌19┌───┐A0     A11┏━━━┓32───┐│                │ ┃  ┃┃
┃│││  └───┘nc  ┌─a9┗━━━┛        ││                │ ┃  ┃┃
┃│││20┌───┐A1─┘ A10┌───┐31      ││                │ ┃  ┃┃
┃│││  └───┘nc      a8└───┘        ││                │ ┃  ┃┃
┃│││21┌───┐A2      A9┌───┐30      ││                │ ┃  ┃┃
┃│││  └───┘a0      a7└───┘        ││                │ ┃  ┃┃
┃│││22┌───┐A3      A8┌───┐29      ││                │ ┃  ┃┃
┃│││  └───┘a1      a6└───┘        ││                │ ┃  ┃┃
┃│││23┌───┐A4      A7┌───┐28      ││                │ ┃  ┃┃
┃│││  └───┘a2      a5└───┘        ││                │ ┃  ┃┃
┃│││24┌───┐A5      A6┏━━━┓27──┐││                │ ┃  ┃┃
┃│││  └───┘a3      a4┗━━━┻─┐  │││                │ ┃  ┃┃
┃│││25┌───┐VCC    VSS┌───┐26│  │││                │ ┃  ┃┃
┃│││  └───┘vcc    vss└───┘  │  ││└────────┘ ┃  ┃┃
┃││└─────────────────┘  │└────┐           ┃  ┃┃
┃││                                -┌─┐+│          ↓           ┃  ┃┃
┃││                            パスコン└─┘ │   ホーネット |RAS1(126Pin) ┃  ┃┃
┃││       |RAS1                            │          ↓           ┃  ┃┃
┃││      ┌────────────────-)─────┘           ┃  ┃┃
┃││      │   【7SL08F】   ↑VCC           │                       ┃  ┃┃
┃││      │ 1┌────┐5 │              │                       ┃  ┃┃
┃││|ras3 └─┤InB  Vcc├─┘              │                       ┗━┛┃
┃│└─────┤InA     │                  │                             ┃
┃│        ┌─┤GND  Out├─┐              └────→ ホーネット A10(133Pin) ┃
┃│        │ 3└────┘4 │                                             ┃
┃│ |RAS   ┴VSS             │                                             ┃
┃└─────────────┘                                             ┃
┃                                                                 (GTS 12)  ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━-━━━━━━━━━━━━━┛
             ┏━━━┓
             ┗━━━┛←:太枠ランドは予め予備半田してホルマル線(長さ約3cm)を付けておきます。
              ──── :ジャンパ線

上図ランドに付記した記号で、 下段の小文字アルファベットはランド信号を示し、上段の数値&大文字アルファベットは 13165 のピン足&信号
を示す。

【注意事項】

1.マスクランドをミニルータで削る時、押しつけるとランドまで削ってしまうので、ビット先端はあてがう程度の力で削る。
  (時間は掛かるがカッターナイフでもOK)
2.RAM 13165 は、内部で RAM が2枚張り合わされています。(Pin 足の根元を見ると張り合わせが確認できます)そのため Pin 足の折り曲げ
  &延ばしで剥がれる場合もあるので、半田付けはフラックス等を使って半田の濡れを良くした方が良い。
3.倍速化は、画面が乱れるのでまず標準速で 20MB を Self TEST でチェックしてから行った方が良い。爆速化は既存 RAM の動作速度により
  、可能な場合もある。
4.改造の一般的話しですが、予備機を確保したら時間の余裕と気力が充実した時に、焦らずゆっくり確実に行うことが成功への鍵です。!
  とは云えあまり期間を置き過ぎても嫌気が差してきて、 気の抜けたビールになっしまうので、やる気が湧いて気分が乗った時に一気に仕上げ
  ることもありですね。

【要点事項】

1.Pin の半田付け後、ルーペで確認しながら進めた方が後々手間が掛からない。
2.ホーネット |RAS1(126Pin) への配線は、両サイドをマスキングし、ホルマル線の中間点を鏝で被服を剥き半田付け。 またはホルマル線を曲
  げて曲げた先端を予備半田して、126Pin 根元の基板に半田付けする。

【準備作業】

1.ホルマル線を長さ約 3cm に切って片側を予備半田する。7本
2.DRAM 13165 の NC な不要な Pin 足を予め折る。具体的には 11,15,16,17,18,33,34,35,40 の9本。
  足を水平に伸ばす Pin は 12,13,14,19,20,27,32,36,37,38,39 の11本です。

【ドータ基板の下地作り】
1.2MB ドータ基板のマスクランドをミニルータで削り取る。
2.AND ゲート用電源として空きパスコンランドの−側にミニルータで1ヶ所削る。
3.ランドに予備半田し、余分な半田は半田吸取り線で平らにする。

【作業手順】

1.17,18,27,32,33,34,35 Pin に準備したホルマル線7本を半田
   付け。
2.RAM の足にフラックスを塗り、四隅の Pin から対角線状に
  半田付けしていきます。
  
データ線→アドレス線→ジャンパ線の順が配線し易いです。
3.接続図に従い、ホルマル線を所定の Pin にジャンパ半田
   付け。

   特に A11 からの線は、ホーネット の |RAS1(127Pin) に半
   田付けし、Uターンして AND の inB に接続する点が慎重を
   要します。
4.AND ゲートは、半田付けし易いように電源 Pin を除いて、
  予め足溝にカッターナイフ等を差し込んで伸ばしておき、空
  きパスコンランドに AND ゲートの電源ランドを合わせ、瞬間
  接着剤で固定。

  全て配線後、もし手持ちのパスコンがあれば、空きパスコン
  ランドに半田付けする。

【通電確認】
1.通電する前に、ドータ基板単体で電源系がショートしていないかチェック。
2.ドータ基板を組込み、LX を組立直したら、[ESC]+[ON] で Self TEST を行い、各バンクカウントが 127 511 127 511 で 20M OK と表示されれ
  ば完成。(^^)v
3.電源 ON で通電した途端にピィー音がしたら、ドータ基板の挿し違い、または RAMのブリッジショートが考えられます。
4.Self TEST で bad ram* と表示されたら、増設 RAM または AND ゲートのブリッジまたは半田付け不良です。ルーペで見ながら妖しい所を再
  半田してください。

【弊害対策】

Over 8MB ですと JKIT で EMS が確保出来ません。また文字化けを起こします。
対策として、LXFONT に でじやま氏のパッチをあてることで解消されます。なお動作対象外ですが、JKITFREE Ver1.11 でも実用上問題ないようで
す。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA003628/jkitpat.html

【消費電力】

サスペンド: 1.**mA(デジタルマルチ測定値)
ノーマル  : 25 mA(アナログテスタ測定値)
アプリ起動:100→80mA(アナログテスタ測定値)
動作時間 :約 -15%(BATTLOG Ver2)

【感想】

4MB 版 200LX を使うことで、自作増設としては割と少ない作業量で、本体2MB+増設改造18MBドータ基板= 20MB の高容量化することが出来
ました。
2MB ドータ基板に RAM と AND ゲート各1個を追加するだけで高容量化が図れ、ジャンパ線も少なく改造作業も楽で仕上がりも綺麗、増設改造
としては取り組み易く
効果も大きいと思います。
Cドライブが 20MB あれば辞書や通信環境も楽に整えられ、Cドライブの丸ごとバックアップもAドライブのフラッシュ容量を圧迫せず、扱いやすい
容量だと思います。動作時間も気にならない程度ですし。(^^)

ドータ基板単体で作業が出来るので、仮に失敗しても追加 RAM を剥がせば元通りの LX になるし、リスクも最小限に抑えられるので、割と安心し
て改造出来るのもメリットでした。

【謝辞】

@nifty FHPPC 9番会議室の皆さん、そして多くの諸先輩方に感謝いたします。 _(..)_

【工具&材料】(参考)

半田鏝:goot(CX-20) 100V/12W(大洋電機産業)
半田:極細(φ0.38)共晶半田
半田吸取線:HOZAN No.3736 SIZE0.9mmX3.0m(ホーザン)
フラックス:プリント基板用無洗浄タイプ(HB-20F)(Sunhayato)
ミニルータ:イングレーバ(EB-406)ビット付き(パオックコーポレーション)
デジタルマルチ:FLUKE 77SERIES
ルーペ:15x
トルクス:#6
小型ニッパ
ピンセット
マドラー(笑)
------------------------------------------
LX本体:HP 200LX(4MB) Palmtop PC
DRAM(128Mbit):日立 HM5113165FTD6 (no Self refresh)(A&T代理店)
ロジックIC:東芝 TC7SL08F または互換品
ホルマル線
マスキングテープ
キムワイプ紙
綿棒
IPA