ピョートル夏の宮殿 Peterhof    

 

ピョートル夏の宮殿はサンクトペテルブルグ市の西方、フィンランド湾の南岸に位置しています。
ピョートル1世の命により、フィンランド湾からだんだん高くなるテラス状の地形を利用して、庭園および宮殿の
建設工事が始まり、1723年に完成しました。

宮殿には、「上の公園」「下の公園」とよばれる広大な庭園があり、ことに下の庭園は様々な噴水で有名です。 
大滝と噴水の周囲には、金色に輝く古代神や英雄像が多数配置されています。

   
中央が<ライオンの口を引き裂く
サムソンの噴水>
運河の向こうは、フィンランド湾
  7月の澄みきった青空の下
涼しげに勢いよく水を噴き上げる噴水
   


144もある噴水は、モーターなどの機械を使わず、水が出るようになっています。
これは、ロシアのある水力工学技師が考えました。
宮殿から離れた丘からポンプを利用せずに、
自然の傾斜である土地の高低差を利用して水を引くことに成功し、
250年以上経た今でもその水は枯れず、冬の雪と氷が融ける初夏に、豊かな水を噴き上げます。
冬の寒さが厳しいロシアの皇帝や貴族が、短い夏を精一杯楽しもうとした様子が、汲み取れます。 

また噴水には様々な工夫が凝らされ、周りにあるどれかの石を踏むと突然水が噴出す「いたずら噴水」、
人が敷地内に入ると、突然水のカーテンになる「傘の噴水」など、ユ−モアあふれる物も有ります。
しかし「いたずら噴水」もよく観察していると、石を踏むから噴出すのではなく、さりげなく横のベンチに座っているオジサンが
時々足元のスイッチを踏んで、水を噴出させているのを発見しました!  
でも、子供達は大喜びで、全身濡れながら、いつ突然水が噴出すか分からないスリルと短い夏を、楽しんでいました。 
ピョートル大帝もこうして、宮殿への招待客を驚かして、楽しんでいたようです。

宮殿建物から真っ直ぐのびる運河の先が、フィンランド湾とバルト海です。 
日本人の私が、何だかとても遠くにまで来た気がして、勝手に感動していました。 

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