SL紀行・新緑の大井川渓谷


明るい陽射しと爽やかな風薫る5月、新緑を求めて大井川渓谷へと旅に出かけました。 
例年になく雨が続く5月でしたが、この時は偶然快晴に恵まれ、目にも鮮やかな新緑と、始めて乗るSL列車を
おおいに満喫できました。 

大井川は、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」の歌でも有名です。 
江戸の 防衛上の理由から幕府が架橋を禁止したため、人足による川越えの制度が敷かれ、
明治に蓬莱橋がかけられるまで、大井川越えは旅の人々の難所でした。 
大雨で川越えができない時など、両岸の島田宿と金谷宿は大変な賑わいを見せたそうです。  
島田市は、花嫁さんの髪型で有名な文金高島田や島田髷の発祥地だそうです。 
そして対岸の金谷市が、今回の大井川鉄道・SL機関車の始発駅です。

   
 金谷駅から出発      SL急行 C11227   北海道で活躍していた機関車
だそうです


列車が出発すると、女性の車掌さんが沿線ガイドを歌も交えて、楽しくもてなしてくれます。 
沿線は、言わずと知れたお茶の産地! 
形良く摘まれたお茶畑に、美しくキラキラ輝くばかりのお茶の新芽の緑が続きます。 
何となくレトロな車内で、車窓の風景を楽しみながら、SL弁当と名物の川根茶をいただくと、気分は最高! 

   
 お茶畑   下流は幅も広い大井川   上流になると、山々に囲まれた
渓谷を流れています 


千頭駅がSL列車の終点駅で、構内には復元設置された車両転車台があります。 
ここで機関車は180度向きを転換させるのですが、このシーンがSLファンにとっては大きな魅力だそうで、
根強い人気をもっています。 
千頭駅から井川駅までの井川線には、アブト式鉄道区間があり、「南アルプスあぶとライン」と呼ばれています。 
このアブト式で、アプトいちしろ駅の先1000分の90という鉄道日本一の急勾配を登るのです。
アブト式とは、開発者Roman Abt
氏にちなんで名付けられた急勾配を登る工夫の一つで、スイスの鉄道で
よく普及しています。
一般には碓氷峠が有名でしたが廃止されたため、今ではここ大井川鉄道だけで使われています。 

 
急勾配を力強く登るアブト式鉄道    この歯型レールと、機関車の歯車を
かみ合わせて急峻な地形を登ります

 
この列車もやはり、車掌さんが沿線のガイドを放送してくれる観光ラインで、山々の緑や渓谷のスリルを味わえます。
山の緑に映える、この赤いミニ列車は、観光のため徐行運転を行い、時速17kmでユックリと1時間半かけて走ります。 
沿線には、接阻峡温泉や寸又峡温泉などがあり、渓谷美の中、ハイキングやキャンプ、温泉などを楽しめます。 
またレインボーブリッジは、接阻峡を結ぶ湖の上にかかる鉄橋で、二つの鉄橋からなり、その中間にある「奥大井湖上駅」は
湖の真ん中に駅があり、パノラマ・ビューを楽しめます。 

  
 空を跨いでいるような関の沢鉄橋   水底からの高さは100m以上もある
日本で一番高い鉄道橋
真上から下の渓谷を撮っています

さて、今日の泊まりは寸又峡温泉です。 
ひっそりとした秘境の里は、派手な看板などを禁止している心安らぐ温泉郷です。  
遊歩道を散策すると、夢の吊り橋に出会います。 
夢と言っても、吊り橋は吊り橋! 
「真っ直ぐ前を見て、揺れに怖気ず、一気に渡る」を実行しましたが、へっぴり腰で恐々渡っている人もいました。 

   
 エメラルド色の水に映える橋     結構揺れる吊り橋      新緑の中の吊り橋 

寸又峡温泉は、美女づくりの湯」として知られています。 
朝夕2回入りましたが、効果のほどはやはり素地次第?

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