アガサ・クリスティの”オリエント急行殺人事件”を読まれた事はありますか?
名探偵ポワロが、列車の中で起きた
殺人事件を、見事解決する小説です。
そのベニス・シンプロン・オリエント急行に乗って、ロンドンの南に旅しました。
ヴィクトリア駅を発車する時は、プラットホームで楽士達が陽気なマーチを演奏して見送ってくれます。
濃紺とゴールドの車体、磨き上げられたマホガニーの豪華なディナーカーで、ロンドン郊外の車窓の風景を楽しみながら
シャンパンと食事に舌つづみを打つ、至福の時間を過ごしました。
ロンドンから30分も走れば、車窓はもう一面の緑! 羊が草を食み、ピーターラビットが楽しく跳ね回る草原が広がります。
ワーズワースが ”我が祖国の緑よ!” と詩に詠んだ気持ちがよく分かりました。
でも残念ながら(?)、ポワロ探偵の活躍を必要とする殺人事件は起きませんでした・・・
ところで、下車する時は丁寧なサービスをしてくれたウエイターへのチップの渡し方が面白いです。
「サンキュウ」と握手をする時に、手にギュッとポンド紙幣を握らせるのです。
オリエント急行を予約して、チケットが送られて来た時、チップに慣れない日本人向けにこの渡し方を
書いてある説明書が入っていました。
ロンドン・ビクトリア スティションから 出発!ワクワクの一瞬 |
客車には、それぞれ名前がついています。 私のは「 ミネルバ 」でした。 |
白いバラが咲きこぼれる「ホワイト・ガーデン」で有名なシシングハースト城。
この庭園の女主人ヴィータは、庭仕事に没頭するあまり、外出も社交もしなくなった程です。
ヴィータと夫ハロルドが長い時間をかけて作り上げ愛した庭は、立体的な造型の見事さと、繊細な感性を駆使した
花の色の配置に感心させられます。 自然と調和したこの田園調の庭は、変化に富み本当に美しいでした。
ロンドンの南、ケント州の静かな村アンバリーのかやぶき屋根を見下ろす、900年前の古城ホテルに泊まりました。
石造りの堅牢な古城は、なだらかな緑の丘陵に建っています。
城内は重厚な木造で、ホールには甲冑や槍が並んでいて、中世にタイムスリップした感覚が味わえました。
周囲は18mの城壁でしっかり囲まれ、ゲートは昔のままの落し格子です。
でも今は、作動させる時は電気のスイッチでON/OFFです。 なにしろもう、21世紀ですから。
正面ゲートの塔に登ると、村全体が眺められ、田園生活に憧れる英国人気質が分かる気がします。
ロンドンと言えば、童話の世界の中のおもちゃの兵隊さんのような衛兵交代を、思い浮かべる方も多いと思います。
私も楽しみの1つだったので、朝から宮殿前のベスト・ポジションを確保して、パレードが始まるのを待っていました。
まず、宮殿の建物前とこちらのフェンス間を往復する行進から始まりました。
すごい迫力でこちらに向かって突進してくる兵士はとても、想像していた可愛い「おもちゃの兵隊さん」ではありませんでした。
何より驚いたのは、その肩に下げている銃が、紛れもなく重そうに鈍く黒く光っている、本物だったことです。
考えてみれば、観光サービスとはいえ、女王陛下を守る近衛兵の訓練の1つが、この交代なんですね。
でも音楽隊は、華やかに行進してきて沢山の曲を演奏し、観光客を楽しませてくれました。
宮殿を中心としたストリートは、鮮やかなユニフォームのホースガードの行進も加わり、とても華やかでした。
いろいろなユニフォームや帽子は、どれも上質のウールで仕立てが良さそうでしたが、6月のロンドンでは、
かなり暑いのではと思いました。