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2003/11/29(22:45:32)
[題]:バックアップ電池の代用改造
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【前書】
  メモリー増設改造の過程でいろいろ試している内に、うっかりしてバックアップ電池が消耗してしてしまったと云うことがありました。 (^^;;
コイン型のリチウム電池 (CR2032) を入れ換えれば済む話しですが、興味も手伝って代わりに電気二重層コンデンサでリチウム電池の代用
にできないか、と思ったのが代用改造の発端です。

  結果は FHPPC Tuned128M (128MB) 爆速でも、 普通に単三電池を交換する分には代用として使えることが分かりました。 (^^)
ただ、メインバッテリーの単三電池を5分以上抜いたままだと、 電気二重層コンデンサが放電し過ぎてCやFドライブのメモリデータ
を保持できないかも知れません。 と云うことで、もし試される方はお約束の Own Risk でお願いします。


【回路】
◆ 部品は電気二重層コンデンサと、 逆流防止用のショットキーバリアダイオードと云う簡単回路です。
  電気二重層コンデンサの充電電源として、マザー基板上のタンタルコンデンサ (15μF/6V) の 3.3V から捕りました。
  下図の 1→3 で瞬時にほぼ満充電され、単三電池交換時には 3→2で放電されてメモリーバックアップをすると云う意図です。
  選んだ ショットキバリアダイオード の順方向電圧(Vf) はノミナル 0.23V(@If=5mA) なので、電気二重層コンデンサへの充電電圧は 3.3-0.23=3.07V、
  初期放電電圧は 3.07-0.23=2.84V を想定しました。

              │     ショットキバリアダイオード
              │        ┌──┐
              ├────┤1   │      +
              │        │   3├───┤├────→  バックアップホルダー端子穴(-)
     3.3V   + ┴      ┌┤2   │  電気二重層コンデンサ
 タンタルコンデンサ   ┬      │└──┘
   (157/6)    │      │
              │      └─────────────→  バックアップホルダー端子(+)
              │
              │

◆ 電気二重層コンデンサは各社から、いろいろな形状、容量、 電圧の物が出ていますが、 LX の Backup 電池に代用できそうで工作も
  し易いと思われる、Panasonic EECS5R5V105 (1μF/5.5V) をRSコンポーネンツから入手しました。
  形状は厚み 5mm φ19mm のコイン型と云うよりは飴玉型です。LX 内部に収めるには少し大きめなので、Backup ホルダー の天板を切り
  取りました。 (天板を元に戻すことも考慮すれば、安易に切り取らずに裏の2箇所を鏝でソックリ外した方がいいかも)

◆ 逆流防止用のダイオードは2個入りで、 順方向電圧降下の少ない3端子型の表面実装用 ショットキーバリアダイオード(1SS374) を同じくRSコ
  ンポーネンツから入手しました。外形は LX のマザー基板にも使われているダイオード類?と同じ形状です。
  普通のシングルリードの ショットキーバリアダイオード(Vf=0.3V)は秋葉原でも入手できると思います。



【改造】

《加工と取り付け》

Backup ホルダー のプラス側である天板をニッパーで切り取り、マイ
  ナス側の爪金具を鏝で外す。
  (元に戻すことも考慮した場合、裏の2箇所の半田付けを外せば
   天板がソックリ外せます)

◆ 電気二重層コンデンサのマイナス側の爪を 90 度曲げて、マザー
  基板上の穴(赤矢印)に挿し込み、裏から半田付け。
  (電気二重層コンデンサの極性に注意してください、電極ピン
   の短い方がマイナスです)

《配線》

ショットキーバリアダイオードの"N9"と刻印された表面に、両面テー
  プを貼り、ホーネットCPU の上に貼り付ける。(裏返しの形)

◆ 配線は以下の3本(白リード線)です。
  1)タンタルコンデンサ (+側) とショットキバリアダイオード(1ピン)
  2)ショットキバリアダイオード(2ピン)と Backup ホルダーのプラス
    側ステンレス板
  3)ショットキバリアダイオード(3ピン)と電気二重層コンデンサの
    プラス端子

◆ 最後にショットキーバリアダイオードと電気二重層コンデンサの上
  に絶縁テープを貼る
《削る》

底ケースの出っ張っている所を2ヶ所削る。
《完成》

◆ 組立て直して完成。収まり具合はこんな感じです。 (^^)
《参考》

◆ 普通の汎用スイッチングダイオード (1S2076A) を入れた例です。
  順方向電圧(Vf)が 0.5V と高いので、Backup Battery Low! アラー
  ムが出てしまいます。(3.3-0.5=2.8V)
  シングルリードでも順方向電圧が 0.3V のショットキーバリアダイオ
  ードなら使えると思います。


【結果】
  BattLog で Backup 電圧を見ると 3.00V で最終的に 3.11V になりました。
メモリデータの保持時間ですが、単三電池を抜いて5分間はOK、6分間ではリセットが掛かりましたがメモリデータは助かりました。
と云うことで、
単三電池交換は5分以内で行えばデータ消失は無さそうです。改造後、3週間程使っていますが良さそうです。 (^^)


【参考】
◆ Panasonic のデータシートを見ていたら、放電時間の目安となる式があったので当てはめてみました。
   定電流放電での放電時間Tは、T=C(V0−V1)/I
   定抵抗放電での放電時間Tは、T=CRLn(V1/V0)
       T :放電時間(s)
       C :コンデンサの容量値(F)
       V0:コンデンサの初期電圧(V)
       V1:使用最低電圧(V)
        I :使用負荷電流(A)
       R :負荷抵抗(Ω)

末期のサスペンド電流を 7mA 、初期電圧を 2.84V とすると負荷抵抗Rは 405.7 Ω。
Ln は解らないので1とし、使用最低電圧を 2.2V とすると、
T=CRLn(V1/V0)=1×405.7×1(2.2/2.84)=314.8秒=5.25分
簡易計算だけど実測の結果と合うみたい。 (^^)
(倍速 32MB 機なら 10分程度は保持すると思います)


【注意】
★ この改造はメモリバックアップを保証するものではありません。
★ 単三電池を交換する時は、 通常通りに電源を切ってから5分以内に交換してください。
★ 単三電池が切れたら、早めに電池交換してください。
★ 単三電池が切れて電源 ON しても、 ピピっと鳴って立ち上がらない場合は、単三電池交換後にリセットが掛かるかも知れません。
  (最悪メモリデータ消失)
★ 電気二重層コンデンサは、他の充電池より寿命は長いですが、電解液を使っているので電池と同様に液漏れを起こす可能性が
  あるそうです。


【配布】
  試してみたい方には、電気二重層コンデンサ(EECS5R5V105) とショットキーバリアダイオード(1SS374) 各1個を普通郵便で、
送料含めて\700円で送付します。ご希望の方は遠慮無くメールください。

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