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2002/10/10(22:33:51)
[題]:新 200LX(2MB) の 128MB 化。
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【プロローグ】
3年前に究極の 128MB な LX が、FHPPC 9番会議室に発表された時は、全く解らないけど凄いなぁ〜。と思っていました。
LX で 128MB が可能だと分かっただけで満足していました。

当時 DRAM メモリーやドライバもないし、まして回路も動作原理も理解できないし、駆動時間も短いので作ったとしても自分には利用用途が
ないな〜と思っていました。

昨年あたりから DRAM も入手できるようになり、 9番会議室でもこのメモリーを使った改造が発表され、私も手を染めていきました。
そこへ今年の6月、C-kuma さんの 128MB 成功の報告が上がり、 地図データでCドライブも目一杯なこともあり、一度は私も 128M を作って
みたいなと想うようになりました。
3年前の当時のログを紐解いてみると何となくできそうな気がして、ドライバが入手できたら試してみたいと思うようになりました。

手始めに 2MB ドータ基板を流用して1バンク 32MB を作り、その後ドライバ (Times2 Teck) も入手できたこともあり、オンボード 64MB 化しま
した。そしてやっと 128MB 化に成功しました。 (^^)
自分には無理と思っていたのですが、まさか究極の 128MB 化まで手を染めるとは思ってもみませんでした。 (^^;;;

私でも 128MB 化できたのは、9番会議室の 5080 発言 を基に回路を作り、一連のツリーを参考にさせていただいたおかげです。
目新しさはありませんが、配線板を流用したことでだいぶ楽できたと思っています。(^^)



【作業のアウトライン】
1.新 200LX(2MB) の既存 DRAM を剥がし、パスコンも ROM の隙間に移動する。DRAM跡地に 13165 を亀4段にし、アドレス変換回
  路(SN74LVC00) をPCカードピンの間だに設置して 64MB をチェック。
2.FHPPC-Tuned32M 配線板を流用して、それぞれ亀2段にして 64MB 基板とする。
3.|CAS 遅延回路 (SN74LVC04) を変換回路の上に乗せて固定。
4.倍速で RAM TEST をし、128MB をパスすることを確認。運が良ければ爆速でも通るかも。




【DRAM 配置】
     ┏━━━━━━━━━┓    ┏━━━━━━━━━┓┏━━━━━━━━━┓
     ┃   4             ┃    ┃    6            ┃┃    8            ┃
     ┠─────B───┨    ┠─────C───┨┠─────D───┨
     ┃   3             ┃    ┃    5            ┃┃    7            ┃
     ┣━━━━━━━━━┫┏━┻━━━━━━━━━┻┻━━━━━━━━━┻━┓
     ┃   2             ┃┃        FHPPC−Tuned32M配線板      ┃
     ┠─────A───┨┗━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━┛
     ┃   1             ┃    ┃                 ROM                 ┃
 ━━┻━━━━━━━━━┻━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━━
           既存ランド

  1〜8が DRAM で、A〜Dのペアがバンク0〜3に対応。
  配線は既存ランド上に4段重ねのA,B。 FHPPC-Tuned32M 配線板を流用して2段重ねのC,Dを ROM 上に配し、ソケットランドから配線を取る。




【変換回路】
HITACHI HM5113165FTD6×8 
TI SN74LVC00ANS(4xNAND)×1                               DRAM A  B  C  D
                                                               ⌒  ⌒  ⌒  ⌒
a11 >─┬───────────┬──────────> A11   1 2 3 4 5 6 7 8
        │                      │
        │                      │
        │                      └──────────> |OE0  1   3   5   7
        │
        │   1┌┤ ̄ ̄\ 3
        ├──┤| 1   )o─┬───────────> |OE1    2   4   6   8
        │   2└┤__/      │   9
        │                    └──┤ ̄ ̄\ 8
        │                          | 3   )o───> |WE0  1   3   5   7
        │                    ┌──┤__/
        │   4┌┤ ̄ ̄\ 6    │  10
|we >─-)──┤│ 2   )o─┤
        │   5└┤__/      │  12
        │                    └──┤ ̄ ̄\11
        │                          | 4   )o───> |WE1    2   4   6   8
        └─────────────┤__/
                                  13




【遅延回路】
TI SN74LVC04ANS(6xINV)×1

                     1│\  2      3│\  4
|lcas>-───────┤04>o───┤04>o─────>|LCAS  1 2 3 4 5 6 7 8
                      │/          │/

                     5│\  6     13│\  12
|ucas>-───────┤04>o───┤04>o─────>|UCAS  1 2 3 4 5 6 7 8
                      │/          │/




【FHPPC-Tuned32M 引き出し線】
                                                                 │
                                                                 │
        ■  ■━━━→ |RAS3      ■  ■━━━→ |RAS2           │
                    マザーソケットランド              マザーソケットランド       │
       ■ ■ ■                  ■ ■ ■                        │
       ┃         ジャンパ       ┃               a11     a10    │
       ┗━━━━━━━━━━━━┛      ┌─┐  ┏━┓  ┏━┓  │
   FHPPC-Tuned32M Board                  └─┘  ┗┳┛  ┗┳┛  │
 ─────────────────────────╂───╂──┘
                              a11←━━━━━━━━┛      ┃
                              a10←━━━━━━━━━━━━┛

  FHPPC-Tuned32M 基板の 36 ピンランドからの当該信号線は、マザー基板のソケットランドへジャンパ配線する。




【配線ポンチ絵】
                                                                        |LCAS
   ┌───────────────────────────────────-┐
   │┌─────────────────────────────────-┐│
 ★││|lcas         Vcc  |UCAS             HM5113165FTD6×8             ││
 ↑││    LVC04×1   ↑  ↑        +-------------U------------+        ││
 │││ 1┌─-U-─┐14│  │┌─-1┏|━━┓VCC         VSS┏━━|┓50─┐││
 ││└─┤1A   Vcc├─┘  ││    ┗|━━┛vcc         vss┗━━|┛    │││
 ││   2│        │13    ││   2┏|━━┓D0          D15┏━━|┓49  │││
 ││┌─┤1Y    6A├──┐││    ┗|━━┛d0          d15┗━━|┛    │││
 │││ 3│        │12  │││   3┏|━━┓D1          D14┏━━|┓48  │││
 ││└─┤2A    6Y├──-)┘│    ┗|━━┛d1          d14┗━━|┛    │││
 ││   4│        │11  │  │   4┏|━━┓D2          D13┏━━|┓47  │││
 │└──┤2Y    5A├─┐│  │    ┗|━━┛d2          d13┗━━|┛    │││
 │     5│        │10││  │   5┏|━━┓D3          D12┏━━|┓46  │││
 └───┤3A    5Y├  ││  │    ┗|━━┛d3          d12┗━━|┛    │││
        6│        │9 ││  │   6┏|━━┓VCC         VSS┏━━|┓45  │││
   ┌──┤3Y    4A├─┤│  │    ┗|━━┛vcc         vss┗━━|┛    │││
   │   7│        │8 ││  │   7┏|━━┓D4          D11┏━━|┓44  │││
   │┌─┤GND   4Y├  ││  │    ┗|━━┛d4          d11┗━━|┛    │││
   ││  └────┘  ││  │   8┏|━━┓D5          D10┏━━|┓43  │││
   │├────────┘│  │    ┗|━━┛d5          d10┗━━|┛    │││
   └-)─────────┘  │   9┏|━━┓D6           D9┏━━|┓42  │││
     │                      │    ┗|━━┛d6           d9┗━━|┛    │││
     ↓                      │  10┏|━━┓D7           D8┏━━|┓41  │││
     vss                     │    ┗|━━┛d7           d8┗━━|┛    │││
                             │  11┌|──┐NC 折     折 NC┌──|┐40  │││
         Hornet↑            │    └|──┘               └──|┘    │││
|RAS1(126Pin)B│            └─12┌|──┐VCC         VSS┌──|┐39─┘││
               │      |WE0        └|──┘               └──|┘      ││
        │   ┌─────-13┌|──┐|WE       |LCAS┌──|┐38──-)┘
         │   │      ┌-─┘└|──┘               └──|┘  ┌─┘★
         └──)───-)─-14┌|──┐|RAS      |UCAS┌──|┐37│┌─┘
                    │  |WE1│┌-┘└|──┘               └──|┘  ││|OE0
                    │      ││ 15┌|──┐NC 折       |OE┌──|┐36-)-)┐
                    └──┐││A └|──┘nc           nc└──|┘ └)-)-)┐
                          │││ 16┌|──┐NC 折     折 NC┌──|┐35││││
                          │││   └|──┘nc        |lcas└──|┴─┘│││
   |we                    │││ 17┌|──┐NC 折     折 NC┌──|┐34  │││
┌────────────-)-)-)-─┴|──┘|we       |ucas└──|┴──┘││
│                        │││ 18┌|──┐NC 折     折 NC┌──|┐33    ││
│                        ││└─-┴|──┘|ras0       |oe└──|┘      ││
│   Hornet |a10>───┐││   19┌|──┐A0──┐    A11┌──|┬───┤│
│     (133Pin)         │││     └|──┘nc    └──-a9└──|┘      ││
│                      │││   20┌|──┐A1──┐    A10┌──|┐31─┐││
│                      │││     └|──┘nc    └──-a8└──|┘    │││
│                      │││   21┏|━━┓A2           A9┏━━|┓30  │││
│   Hornet |a11>──┐│││     ┗|━━┛a0           a7┗━━|┛    │││
│     (132Pin)       ││││   22┏|━━┓A3           A8┏━━|┓29  │││
│                    ││││     ┗|━━┛a1           a6┗━━|┛    │││
│  ┌────────┤│││   23┏|━━┓A4           A7┏━━|┓28  │││
│  │             vcc││││     ┗|━━┛a2           a5┗━━|┛    │││
│  │              ↑││││   24┏|━━┓A5           A6┏━━|┓27  │││
│  │    LVC00×1 │││││     ┗|━━┛a3           a4┗━━|┛    │││
│  │ 1┌────┐│││││   25┏|━━┓VCC         VSS┏━━|┓26  │││
│  ├─┤1A   VCC├┘││││     ┗|━━┛vcc         vss┗━━|┛    │││
│  │ 2│        │13││││       +---------------------------+      │││
│  └─┤1B    4B├─┤└-)-)─────────────────────┘││
│     3│        │12└─-)-)──────────────────────┘│
│┌──┤1Y    4A├──┐││                                              │
││   4│        │11  │││                                              │
└-)┬─┤2A    4Y├──-)-)┘                                              │
  ││ 5│        │10  ││           ┏━━━┓:ランドに亀半田付けする足 │
  │└─┤2B    3B├──┤│           ┗━━━┛                           │
  │   6│        │9   ││           ┌───┐:ランドから引き出す線     │
  │┌─┤2Y    3A├──┼-)─┐   ──┴───┘                           │
  ││ 7│        │8   ││  │   ──┬───┐:DRAM ピンから引き出す線  │
  ││┌┤GND   3Y├──-)┘  │       └───┘                           │
  │││└────┘    │    │                                            │
  ││└──→ vss      │    │                                            │
  │└─────────┘    │                                       |OE1 │
  └─────────────┴──────────────────────┘

※上図ピン足に付記した数値とアルファベットは、下段の数値&小文字アルファベットは既存 RAM のピン足を示し、 上段の数値&大文字アルファベットは
亀にした 5113165,6FTD6 のピン足を示す。また亀の NC な足は全て折る。
接続は上の配線ポンチ絵に従う。 相変わらずセンスが無く、見づらいですが汲み取っていただければ幸いです。
ロジック IC は LVC を使いましたが、ALVC や VCX を使えばより安定した高速動作が期待できる...かも。

 



【作業手順】
1.既存 DRAM を取り除き、パスコンを ROM の隙間に移動する。
    

2.まずは亀4段にして 64MB 化します。NC Pin は全て折り、|WE(16Pin),|OE(36Pin) を水平に伸ばして亀にする。
3.PCカードピンとの間だに変換回路の NAND(LVC00) を両面テープで固定し、配線ポンチ絵に従い配線する。
  DRAM ペアBの|RAS はソケットランドの|ras3(29) に配線する。
4.|WE0 はペアA,Bの DRAM1,3 に綱渡し配線。 同様に|WE1 はペアA,Bの DRAM2,4 に綱渡し配線する。
5.|OE0 と|OE1 も同様にペアA,Bの DRAM1,3 と DRAM2,4 に綱渡しする。
6.19(A0) を Hornet の|a10(133Pin) に配線、 変換回路からの A11 も Hornet の|a11(132Pin) に配線。
7.配線のチェック後、RAM TEST を行い、以下のように 64MB に成っていることを確認する。TEST 時間は約 40分掛かります。
       バンク : 0  1  2  3
       カウント:D47  0  0  D47
        容 量 :32M  0  0  32M
───────────────────
        合 計 :64MB
    
             亀4段での 64MB 化

8.次に FHPPC-Tuned32M 配線板を流用して 64MB 基板にする。 まず配線板とタンタルコンの一部が干渉するのでヤスリで 1mm 程削り
  ます。配線板裏を絶縁テープで覆う。またポンチ絵の所をジャンパし、パスコン2個を付ける。
9.3番で配線した|ras3(29) を外し、直接 Hornet の|ras1(126Pin) に配線。
10.|CAS 遅延回路 (LVC04) を変換回路 (LVC00) の上に乗せる。私は切れるシート基板の切れ端を使って 14Pin を半田付けしました。
  ペアAの|#cas, と|#CAS の間に遅延回路の LVC04 を入れる。
    
             LVC04 配線の様子

11.ペアC,Dの上段 DRAM6,8 の|WE1(13Pin) は水平に伸ばし、綱渡し配線で亀4段側の DRAM4 の|WE1 に配線。
12.ペアC,Dの|OE0 はそれぞれ綱渡し配線で DRAM5,7 とペアBの DRAM3 の|OE0 に配線。同様に DRAM6,8 の|OE1 はペアB DRAM4 の
  |OE1 に綱渡し配線。
13.ペアC,Dの|#CAS は配線板のランド (6,30) から直接ペアBに配線。
14.配線板の a10,a11 は DRAM4 側に配線。
15.配線板のその他の信号線は全てマザー基板のソケットランドに配線。
    
                配線途中

16.キーボード裏と DRAM が当たる部分を削る。キーフレキ押さえの段差と、凸2個と凸3個を約半分削りました。
   このままですとキーボードが少し膨らみます。彫刻刀などで地肌を削ればいいのですが、削りすぎに注意が必要です。
    

17.配線チェック後、RAM TEST (約90分)を行い、128MB になることを確認して完成。
       バンク : 0   1   2   3
       カウント:D47  D47  D47  D47
        容 量 :32M  32M  32M 32M
───────────────────
        合 計 :128MB(<8M)
    
             RAM TEST 結果表示

17.CONFIG.SYS にドライバ rdt2t.exe を追加して立ち上がり時に y と答えれば、Fドライブとして 96MB が作られます。
     
          Fドライブの chkdsk を行った画面



【結果】
新 200LX(128MB) FMODEM倍速。爆速では RAM3 の後半でこけます。 (/_;)
RAM TEST:90分 フルバンク D47 で合計 128MB(C=32MB,F=96MB)
サスペンド電流:5.80mA (2.602V) (デジマル)
定常時:40mA (アナログ)
アプリ起動時:170mA (アナログ)
ファイルコピー:260mA (アナログ)
以上、PCカードは入れていません。また電源昇圧もしていません。
(爆速化するつもりで遅延回路(LVC04)を付けましたが、倍速では付けなくても RAM TEST は通っていました)
通信(XJ3144)、LAN転送(EN2216-1)、GPS(PACYNV-10) で使えています。 10日間ほど使って今のところOKです。 (^^)


フラッシュ(220MB) 入れてハードウェアバイブルに同梱されていた BATTSIM で自動運転テストを行った結果、 駆動時間(BATTLOG) は平均
9時間 (1900mAh NiMH) 程度でした。

高容量になるとどうしても消費電力が大きくなり、LX のメリットの一つが失われてしまい、電池の保ちとのトレードオフを考えるとあまりお奨め
はできませんが、使用目的を限定すれば 128MB も十分に有用性はあると思います。電池切れに注意すれば常用 LX としても使えそうです。

         
                  全体の画像                       マザー基板を上から見た画像

         
            マザー基板を横から見た画像                      GPS受信機とLX



【感想】
はじめ、ROM 上の DRAM を手配線しようとチマチマ始めたのですが、気力が萎えて途中でメゲました。 (^^;;;
残しておいたチューンド32M配線板は使いたくなかったのですが、手を出してしまいました。
でも流用したことで配線量は少なくて済みました。(^^)

私の場合、これまで 32MB 機に GPS 用の切り出し地図データを入れていて、容量を圧迫するため2年程遠のいていたのですが、
SONY PACYNV-10 と DMAPLX でカーナビや登山でGPS 専用マシンが
出来上がりました。(^^)

私でも曲がりなりに完成することが出来たのは、FHPPC 9番会議室の蓄積された情報や、多数の達人の方々のおかげです。
この場をお借りして心から感謝いたします。 _(..)_




【エピローグ】
電池の持ちも、思ったより良さそうなので常用LX として使うことにしました。 (^^)
SURER サイトで最新版ドライバが公開されました。基本的にユーザーサポートが対象のようですので、取り扱いには注意が必要です。
とは云え、誰でも個人の責任において動作チェックに使えるのは嬉しいです。
今後 128MB キットが実現できれば改造工作も楽になると思います。
ぜひ軌道に乗ることを期待している一人です。 o(^-^)o